Project/Area Number |
21K00894
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 昭一 東北学院大学, 文学部, 教授 (70182920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 勝彦 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員(客員研究員) (10201849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 国際援助 / 軍事的自立化 / 南アジアの冷戦 / 経済開発競争 / 中印紛争 / 軍産複合体 / 軍拡の負の連鎖 / 南アジア冷戦 / 軍事同盟 / カシミール / 技術移転 / 経済開発 / 国際開発援助 / 軍事的自立 / 軍事援助 / 冷戦 / 南アジア |
Outline of Research at the Start |
南アジア国際秩序に関する研究は、これまで主としてイギリスの脱植民地化や経済開発援助の視点から行われてきているが、1960年代に確立・変容した南アジアの国際秩序体制の実態解明が依然として曖昧のままになっている。 そこで、本研究は、ソ連及び中国などの共産国援助との関連を視野に入れつつ、1960 年代の英・米を中心とした開発援助及び軍事援助の国際的競争とそれを逆手にとって自国の経済・軍事的自立化を図ろうとした南アジア諸国の戦略のせめぎあいの過程を検討することで、南アジアに冷戦関係をもたらした国際的援助とアジアの自立化の諸相を究明することをめざしている。
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Outline of Annual Research Achievements |
戦後から1960年代後半までの南アジアに対する英米を中心とした西欧諸国の介入過程を究明するために、経済援助の分野と軍事援助の分野のそれぞれの実情とその総体的関連を追った。 経済援助面では、スターリング・バランスの限界とそれに代わって登場した多角的援助システムであるインド援助コンソーシアムの展開・交渉過程を追求した。第三次インド五ヶ年計画へのかかわりがどの程度成功したのかを確認した。 軍事援助面では、1955年バンドン会議での中立的外交戦略を打ち立てたインドが中印紛争後グローバルな軍事援助を求めざるを得なくなった実情とそれを取り巻く国際情勢の変化を追った。特にこれまでパキスタンを基軸に南アジアへの介入を制限されていたアメリカが、イギリスとの連携をとりながら、中国を仮想敵国とした防空支援へと拡大していった状況に絞り、欧米の軍事援助過程と冷戦下での非同盟政策の意義を検討した。 なお、この欧米の軍事支援とインドの軍事的・経済的自立化を検討するに際しては、防衛体制の自立化、兵器国産化、高技能人材の育成など、さまざまな視点からの実証分析が必要であるが、軍事援助と技術移転の関連については、「防衛体制の自立化」と「軍事的自立化」という概念に則しながら、「軍事的自立化」によって「軍事的紐帯」を「軍事同盟・安全保障体制」へと昇華していく視点を模索した。特に研究分担者には武器移転と軍事援助に関するこれまでの研究成果を踏まえて、「軍拡の負の連鎖」研究の新たな可能性を切り拓くために、冷戦期に覇権国家アメリカが同盟国との間に構築した国際軍事ロジスティクス、その形成と拡大に多大な影響を及ぼしてきた軍産複合体、非同盟中立国インドと「軍拡の負の連鎖」の関係、以上3点に注目して研究を進めてもらった。南アジアにおけるアメリカの介入の限界とソ連の本格的介入との交錯過程が見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者とともに連携しながらおおむね順調に進展しているため。
円安の状況下で海外での資料収集が厳しい状況にあったが、購入済みのデータベースの活用や国内での資料収集を踏まえて、中間的研究成果を講演会などにおいて、研究分担者との共同で研究成果の一部を公開することができた。そこで、新たな究明課題の発見と今後の見通しを得ることができた。 1960年代の欧米の対インドの経済的軍事的介入過程を概略的に確認できたが、経済援助と軍事援助の関係性や軍事的自立化過程の実態究明がまだ不十分であると考えている。海外援助依存を前提にした国家が抱える財政的負担と援助国側の対費用効果を求める国際的安全保障体制の関係性を追う必要がある。また、軍事同盟を背景として、国境を越えて公式・非公式に展開される「軍事ロジスティクス」に関しては、先行研究が少なく、兵站業務・後方支援の一国史的な解説に終始しているという研究事情があるため、引き続きに資料収集と分析に努める必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に入るために、まだ残されている課題追及を行いながらこれまでの研究成果を取りまとめる作業に入る。南アジアに関する1960年代のマクミラン―ケネディ政権期の歴史的特異性を明らかにしつつ、1960年代後半、さらには1970年代の変容過程分析への展望を得る。 具体的には、経済分野においては、インド援助コンソーシアムの変質(参加国の拡大、開発援助から債権保守)過程、ソ連を中心とした東欧諸国の介入拡大過程、最大の援助国であったアメリカ支援の撤退の背景、インド経済開発と軍事態勢の再編との関連などを検討する。 他方、1962年の中印紛争、1965年第二次印パ戦争、さらには1971年第三次印パ戦争へと連鎖していく南アジアの国際関係において、インドが軍事拡張路線を強めていく過程を踏まえて、非同盟中立のインドが、印ソ相互安全保障条約(1971年)締結以降に、アメリカを中心とした国際軍事ロジスティクスや欧米の軍産複合体とどのような関係を結んでいったかを検討する。南アジアにおける国際安全保障体制の変容過程について、多角的軍事介入の視点を確認していく。
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