イタリア中世都市の市民概念に関する動態的研究――周縁者から見る
Project/Area Number |
21K00923
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 惣 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (10623390)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 外国人 / イタリア / クレジット / 市民権 / 高利貸し / 追放者 / イタリア都市 / 市民 / イタリア中世 / 中世都市 / 周縁者 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、共同体メンバーの淵で、市民と非市民とを行き来する外国人、高利貸し、追放者らの諸権利の享受と剥奪の実態について、ルッカ文書館所蔵の裁判記録、議会議事録等の調査に基づいて明らかにする。 初年度に、都市ルッカにおける外国人、高利貸し、追放者の存在を各種のリストから把握したうえで、2年目以降、裁判記録から各周縁者の諸権利の享受の実態を解明し、議会議事録から都市政府による対応を検討することで、周縁者の実践と都市指導層の政策によって市民概念が再定義される実相を解明する。5年目にはこのイタリア中世都市の市民概念を比較史の視座の下で総括する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、共同体メンバーの縁で、市民と非市民とを行き来する周縁者の諸権利の享受とはく奪の実態を、トスカーナの都市ルッカを対象に検討するものである。本年度は、ルッカに滞在していた外国人(他都市出身者)の身体や財産の法的保護や経済的権利について検討した。特に、Curia dei Rettoriの裁判記録を基に、外国人が関与した裁判分析した。この法廷の裁判記録は1328年から1367年までの間に30冊残されていたが、分析の結果、1340年代後半から、この法廷が外国人が関与する裁判に限定されるようになっていたことが明らかになった。その背景には、当時ルッカを間接統治していたピサの都市政府からの指示が1347年に書簡で伝えられたことがあった。そこで、史料の保存状態のよい期間である1367年の上半期を対象により詳細に民事裁判を検討した。この半年間で235件の訴えが略式で起こされていたことが確認できた。その内容は、貸付、家賃、売買に伴う債務に関してであり、外国人同士での案件、外国人がルッカ人を訴える案件、ルッカ人が外国人を訴える案件のそれぞれがあった。彼らは、フィレンツェやピサ、ピストイア、ペッシャ、プラート、サン・ミニアートなど近隣都市から来て、主に手工業に従事していた外国人であった。こうした外国人は、債務不履行時の債権回収という法的保護を受けることができたことで、同業者間や同郷者間で貸付や賃貸などの契約を安心して結ぶことができていたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた史料を分析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、外国人の分析をさらに進めるとともに、高利貸しについてもルッカ司教座附属文書館所蔵の資料を用いて検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)