Project/Area Number |
21K00927
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
大澤 広晃 法政大学, 文学部, 准教授 (90598781)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | フィランスロピー / 南アフリカ / アフリカ / イギリス / イギリス帝国 / 人道主義 / ヨーロッパ人・アフリカ人協議会 |
Outline of Research at the Start |
本研究の主題は、イギリス帝国におけるフィランスロピーである。具体的には、20世紀前半の南アフリカでアフリカ人の救済に取り組んだヨーロッパ人・アフリカ人協議会に着目し、イギリスの「個性」とも呼ばれるフィランスロピーが帝国の文脈でどう展開されていたのかを考察する。とくに、農村部における協議会のフィランスロピー実践と言説を、同時代のイギリスやアメリカからの影響も視野に入れながら検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、(1)本研究課題に関連する先行研究の批判的読解および史料の分析に努めつつ、(2)イギリスで史資料調査を行い、(3)単著および論文の執筆に取り組んだ。 (1)本研究は、20世紀前半の南アフリカを対象に、アフリカ人の地位向上や待遇改善、貧困問題の解決に取り組んだヨーロッパ人・アフリカ人協議会(以下、協議会)の活動を、とくに農村部の問題にそくして考察するものである。先行研究や史料の分析を通じて、協議会が、農村部から都市部へのアフリカ人の移動とその結果としてのアフリカ人の秩序なき都市化を制御するために、農村部の生活環境改善が必要だと考えていたこと、そのような目的に照らして農村の開発と農業の改良を主張していたこと、しかし、自らの伝統や慣習に依拠した生活(とくに土地と家畜への権利)を維持したいアフリカ人たちは開発や改良の名の下での外部からの介入にしばしば抵抗していたこと、などが明らかになった。 (2)本研究の主題である協議会と密接な関係をもち、その動向にも大きな影響を与えた反奴隷制および原住民保護協会の史料をイギリス・オクスフォード大学で調査した。同組織と協議会の関係のみならず、20世紀前半という時代にあってアフリカ人の救済をめぐる考え方や取り組みに地域をこえた共通性があったことが明らかになり、非常に有益であった。 (3)本科研を含むこれまでの研究成果を単著にまとめるべく、本の執筆を進めた。原稿は概ねまとまり、2024年度の科研費出版助成にも採択された。これと並行して、関連する論文2編を執筆した。2023年度中の出版はかなわなかったが、うち1本は2024年度中に、もう1本は2025年度中に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間がCOVID-19パンデミックの時期に重なったため、予定していた海外の文書館での調査ができなかった影響は大きい。これまで収集してきた史資料の分析に基づく研究成果のとりまとめは進展しているが、本課題にかかわる調査・研究についてはまだやるべきことも多く、全体としてみると、進捗状況にやや遅れがあるといわざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行には海外の文書館での史料調査が不可欠であり、長期休暇の期間を利用して精力的にこれを進めていく予定である。もっとも、2024年度から本務校で役職に就き学内業務が増加した状況で、COVID-19の時期に実施できなかった分の海外調査を本年度のみでこなすのは難しいと感じており、研究期間の延長も検討している。 それと同時に、研究成果の発表については、2024年度中に単著および論文の公刊を予定しており、さらに質を高めるべく努力していきたい。
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