合衆国西部の水利権係争に働く部族主権の検討:モンタナ州水利権合意に焦点をあてて
Project/Area Number |
21K00929
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
川浦 佐知子 南山大学, 人文学部, 教授 (30329742)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | アメリカ先住民 / 保留水利権 / 部族主権 / 水利権係争 / ウィンターズ法 / 水利権合意 / 水資源管理 / マッカラン修正 / 水利権 |
Outline of Research at the Start |
アメリカ合衆国西部は長く国家資源供給地と目され、その歴史は「開拓」を基調として描かれてきた。この西部フロンティアの歴史において、先住民は進歩・発展の障壁として描かれざるを得ず、現在に至っても先住民史は国史に正当に位置付けられているとは言い難い。本研究は合衆国西部における水利権係争とその紛争解決を、先住民の部族主権の観点から検討することで、西部開拓史と先住民史の接点を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、20世紀後半の合衆国西部における水利権係争を、アメリカ先住民の視点から検討することにある。令和4年度は、1970年代にモンタナ州の先住民部族が提起した水利権訴訟を軸に、州が部族の保留水利権に配慮した水利用法改正に至った経緯を検討した。併せて、部族が州と争った水利権係争において、連邦が部族に対して果たすべき信託責任はどのように作用したのかを検討した。 20世紀半ば、州と連邦との間で起きた水利係争に終止符を打つべく発出された1952年マッカラン修正は、州政府による包括的な水利権管理を可能とするため、州域内における連邦による水利権の司法判断を退けた。連邦法に基づく先住民の保留水利権も、マッカラン修正の影響を受け、最終的には州裁判所によって司法判断され、州法のもとで管理されることになったが、州には先住民の保留水利権に配慮した水利用法の改正が求められた。 1980年代、部族と州との間では水利権交渉のための素地が醸成されつつあったが、内務省は部族の水利用に関する条例、規定、決議文、立法の承認を認めない1975年モートン・モラトリムを発出して、先住民と州との水利権合意を阻んだ。 明らかとなった上述の点を受け、先住民の水利権行使を部族主権の観点から考察するために、合衆国における部族主権侵害の歴史をマーシャル三大判決に遡って検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は、コロナ感染症拡大を鑑み、モンタナ州での現地調査を見合わせた。 検討予定であった1950年代・1960年代の連邦先住民政策、及び1970年代の国家水資源政策の変更が部族の保留水利権に与えた影響については、議論が尽くせたとは言えない状況にある。 一方で、19世紀末から20世紀初頭にかけて、連邦による部族規制を正当化する司法判断(1886年カガマ事件判決、1903年ローンウルフ事件判決)が下された歴史的経緯を踏まえた上で、先住民の水利権を認め、条約解釈のあり方を示した1908年ウィンターズ事件判決を検討したことで、今日の部族主権を考える上で、先住民による保留水利権行使が持つ意義がより明らかになった。 上述をもとに「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度はモンタナ州ノーザン・シャイアン保留地での現地調査を実施する。 「部族―連邦」関係については、1950年代・1960年代の連邦先住民政策、及び1970年代の国家水資源政策の変更が部族の保留水利権に与えた影響について検討を進める。「部族―州」の関係については、アメリカ先住民権利基金の部族水利権合意への関与や、水利権合意を進めるための州保留水利権協定委員会の具体的な働きについて検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)