日向灘沿岸低地における完新世の古津波・古環境の復元に関する研究
Project/Area Number |
21K01017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大平 明夫 宮崎大学, 教育学部, 教授 (00262824)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 完新世 / 沖積低地 / 縄文海進 / 干潟 / 泥炭地 / 珪藻 / 古環境 / 津波 / 砂州 / 浜堤 / 津波堆積物 / 湿原 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、日向灘に面する沖積低地の表層堆積物を詳細に分析することから、先史時代から歴史時代に至る過去約1万年間の古環境の変化を明らかにする。また、堆積物に含まれる津波を示す痕跡(津波堆積物)を探索する。十分な証拠によって、津波堆積物が認定された場合は、その津波堆積物の年代・分布域・高度に基づいて、古津波の年代・規模などを検討する。これまで知られていなかった津波堆積物が発見できた場合は、過去に宮崎県の海岸に襲来した津波の発生年代、分布域を明らかにすることで津波防災にも貢献できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
延岡平野の大貫低地において昨年度実施したハンドボーリング調査で採取した堆積物(ON1地点、全長5.3m)を試料として、古環境変化を明らかにする目的で珪藻分析を行った。堆積物下部(砂層・砂泥層)では、海水泥質干潟指標種群の珪藻が多数産出し、海水藻場指標種群の珪藻と内湾指標種群の珪藻もみられた。堆積物中部(泥質泥炭層)では、淡水生・汽水~淡水生・海~汽水生の珪藻が混合して産出した。泥質泥炭層の直上の泥炭層では、淡水生(沼沢湿地付着生種群)の珪藻が多数産出し、海~汽水生の珪藻が産出しなかった。堆積物上部(シルト・粘土層)では、淡水生(沼沢湿地付着生種群・淡水底生種群)の珪藻が多数産出した。上記の珪藻分析の結果と昨年度の14C年代測定の結果から、以下の完新世中期以降の古環境変化が推定された。ON2地点の深度約4.5~4.1mの砂泥層に含まれていた植物片の14C年代が約6800~6600 cal BPであることから、約7000年前には大貫低地に縄文海進が到達しており、海水の影響を強く受ける砂泥干潟が形成されていた。ON1地点の深度約2.7~1.9m付近の泥質泥炭層・泥炭層の基底の14C年代から、約4800 cal BPに砂泥干潟から塩性湿地(海水と淡水の両方の影響を受ける湿地)に変化した。塩性湿地は、その後、海水の影響を受けない湿原(泥炭地)へ変化した。湿原(泥炭地)は、ON1地点の泥炭層上部の14C年代から約4300 cal BPまで(ON2地点では約3600 cal BPまで)継続した。その後、湿原(泥炭地)は、氾濫時の洪水堆積の影響を受けるようになり、沼沢地・後背湿地へと変化した。 さらに今年度は、宮崎平野の江田川低地、日南海岸の小目井川低地においてハンドボーリング調査を実施し、堆積物の層相変化を記録した。また、堆積物の年代を明らかにするため、計10点の14C年代測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度には、延岡平野の大貫低地で採取した堆積物の珪藻分析を行い、完新世中期以降の古環境変化を詳細に明らかにできた。さらに、大貫低地では海成層上限高度が標高約2m付近にあること、完新世中期(約5000年前)の相対的海水準(平均海面)が標高約1.2m付近にあることが明らかとなり、このことから、隆起が顕著な宮崎平野とは異なり、延岡平野における完新世の地殻変動が比較的穏やかであることが推定された。 また、2023年度には、宮崎県内の2ヵ所の沖積低地(宮崎平野の江田川低地、日南海岸の小目井川低地)を調査地域に選択し、ハンドボーリング調査を行い、堆積物を採取した。堆積物に含まれていた泥炭・植物片を試料として、計10件の14C年代測定を分析機関に依頼し、年代値を得ることができた。宮崎平野の江田川低地の堆積物には、津波堆積物の可能性のある砂層が含まれていたため、現在、堆積物の詳細な分析(珪藻分析など)を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は宮崎平野の江田川低地の堆積物の分析(珪藻分析、堆積物混濁水の電気伝導度分析など)を行い、詳細な堆積環境の変化を明らかにしていく。補足の現地でのハンドボーリング調査を行い、津波堆積物の可能性のある砂層の分布域(津波の到達範囲)を明らかにしていく。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)