Project/Area Number |
21K01042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中島 弘二 金沢大学, 人文学系, 教授 (90217703)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 金武湾闘争 / 草の根市民運動 / 環境運動 / 存在論 / 金武湾反CTS闘争 / 豊前火力発電所建設反対運動 / 身体 / 物質性 / 反CTS運動 / 存在論的展開 |
Outline of Research at the Start |
本研究では1970年代に沖縄と大分(福岡)で展開された環境運動を対象として、人間とその他の生き物やモノとのつながりに着目する存在論的視点から、当時の運動が人間と環境の関係をどのようにとらえていたのかに焦点を当てて、それぞれの運動の思想と実践を明らかにし、その現代的意義と可能性を検討する。具体的には沖縄金武湾の反CTS闘争と豊前火力発電所建設反対運動を対象として、それぞれの運動が生み出した「生存権」と「環境権」に着目し、それらが人間と人間以外のアクターとのつながりをどのようにとらえていたのかを、当時の機関誌の分析と運動関係者への聞き取りを通じて明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初、夏休み中に沖縄および大分での集中的な現地調査(2週間ほど)を予定していたが、2023年8月初めに中島が突然の病気で入院し、その後も数ヶ月間リハビリが必要だったことから、予定通りの調査をおこなうことができなかった。そのため、研究期間の1年間の延長を申請せざるをえなくなった。そうした中でも、限定的ながら以下のような研究活動をおこなうことができた。(1)大分県における草の根市民運動の展開に関する調査(2023年10月3日間)、(2)沖縄における草の根の環境運動に関する調査(2023年12月3日間)、(3)日本地理学会2024年春季大会での研究発表(2024年3月)。(4)雑誌「空間・社会・地理思想」における論文掲載。 (1)においては、由布院の市民運動団体ローカルネット大分事務局にて事務局長の浦田龍次氏へ草の根市民運動の展開に関する聞き取り調査をおこなったほか、大分県立図書館にて草の根市民運動の展開に関する資料を収集した。(2)においては、名護市のエコツーリズム団体「エコネット美」の創設者、輿石正氏への聞き取り調査をおこなうとともに、動物論的視点から草の根市民運動の研究をおこなう人類学者の沖縄国際大学総合文化学部の比嘉理麻准教授と今後の共同研究に関する研究打ち合わせをおこなった。(3)については、日本地理学会2024年春季大会(於 青山学院大学)において「金武湾闘争における生存思想に関する存在論的研究」と題する研究発表をおこなった。(4)については、「金武湾闘争における生存思想の展開-「存在の政治」の視点から-」と題した論文を雑誌「空間・社会・地理思想」27号に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように、2023年8月初めに中島が突然の病気(前庭型メニエール病)で入院し、その後も数ヶ月間リハビリが必要となったことから、当初夏休みに予定していた沖縄と大分での集中的な現地調査をおこなうことができなくなった。その後、10月と12月にごく短期間の現地調査をおこなうことで翌年度の調査の準備を行うことはできたが、特に大分の豊前火力発電所建設反対運動関連については調査を十分に行うことができなかった。一方、沖縄の金武湾闘争についてはこれまでにおこなった調査と資料収集をもとにして、学会発表と学術論文をそれぞれ1つずつ行えたことは幸いであった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究計画としては、(1)豊前火力発電所建設反対運動に関する調査と資料集をおこない、その成果を論文にまとめること、(2)金武湾闘争に関しては特に今後の課題としていた水俣病闘争や伊達市火力発電所建設反対運動など同時代に日本本土で展開された草の根市民運動との関連を明らかにすること、(3)これまでの調査の成果を踏まえて豊前火力発電所建設反対運動と金武湾闘争の相違点・共通点についての比較検討をおこなうともに、日本の草の根市民運動における両運動の意義について検討をおこなう、(4)これらの成果を学会および論文で発信すること、等を計画している。 なお、2024年7月にインドネシアのジョグジャカルタで開催されるアジア研究学会(Association for Asian Studies)でConstructing the living place: the anti-military exercise movement in Hijudai, Oita Prefectureと題する研究発表を予定している。これは豊前火力発電所建設反対運動以降に大分県で展開されてきた草の根市民運動に関するものであり、この学会への参加を契機として海外研究者との研究ネットワークの構築をはかりたいと考えている。
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