Project/Area Number |
21K01045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原口 剛 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40464599)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ロジスティクス / コンテナ化 / 港湾労働者 / 都市下層労働者 / 批判地理学 / 港湾労働 |
Outline of Research at the Start |
近年の地理学においては、ロジスティクス(Logistis)という概念が世界的な注目を集め、多様な議論や研究が進められている。日本国内においては、ロジスティクスをめぐる地理学的議論はいまだ少ないものの、日本の都市の経験はロジスティクス研究にとってきわめて重要な事例である。本研究は、神戸港を中心とした港湾都市の比較研究を通じてコンテナ化が実現される過程を明らかにするとともに、それらの事例研究を踏まえロジスティクス概念をめぐる理論的知見を具体的に検証する。このように事例研究と理論研究を往還しながら、ロジスティクス概念の内実とその拡張可能性を解明し、批判地理学の新たな展望を切り開くことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ロジスティクス概念を把握するとともに、日本の都市における研究可能性を模索する。具体的には、第一に、神戸港を中心的な研究対象とし、かつ沖縄の那覇港や北九州の門司港を対象とした事例研究を通じて、コンテナ化の進展過程や、それに伴う空間編成や労働変容の過程を明らかにする。第二に、労働者や生活者による対抗的な空間(カウンター・ロジスティクス)の構築過程とその意義を明らかにする。具体的には、コンテナ化に対抗すべく展開した港湾労働運動、1970年代以降に寄せ場地域で展開した日雇労働運動、現代の野宿者運動などを取り上げ、それらが有する空間論的意義を捉え返す。第三に、ジェントリフィケーションやウォーターフロントに対する批判的研究、人工島開発をめぐる議論、監視社会論や都市統治論など、関連する議論を幅広くレビューし、ロジスティクス概念を基盤とした都市インフラ論の理論的知見を提示する。 以上の研究目的に向け、本年度は、①神戸港における調査を継続しつつ、沖縄・那覇港を対象とする調査研究を実施した。また、②カウンター・ロジスティクスとしての労働史・生活史調査を遂行した。具体的には、神戸港における艀生活や、沖縄・那覇港における港湾労働運動史、山谷・釜ヶ崎などの寄せ場地域における労働運動史について、当事者へのインタビューを実施した。さらに③デンマーク・オーフス大学との研究ネットワークを構築し、デンマークのオーフス港およびコペンハーゲンの事例調査を実施した。最後に、④ジェントリフィケーションに関する批判的研究について、集中的に調査研究を遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により調査計画に遅延が生じていたが、本年度より沖縄・那覇港を事例とした研究に着手することができた。また、研究を進めるなかで当初の計画にはなかった研究ネットワークが生まれ、調査研究の視座や枠組みを大きく広げることができた。 具体的には、デンマーク・オーフス大のAnnette Skovsted Hansen氏らとの研究ネットワークを形成することにより、デンマークの港湾都市に関する調査を実施することができた。デンマークの港湾都市はグローバル経済におけるコンテナ化の歴史と現在にとって中心的な役割を担っていることから、そのような調査研究の機会が得られたことで、本研究の視座をグローバルな比較研究へと拡張する可能性が開かれた。 また、神戸における港湾再編および港湾労働史を調査するなかで、阪神淡路大震災のがれき処理に携わった労働者の経験にアプローチする機会を得た。この機会によって本研究は、阪神淡路大震災の経験を再検証・再構成する調査研究へと展開しうる可能性が得られた
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたる次年度は、神戸港・那覇港を対象として進めてきた調査から得られた知見をまとめると同時に、もうひとつの調査予定地である門司港の調査を実施する。また、デンマークの港湾都市との比較研究および阪神淡路大震災の復興経験の調査研究を展開する。これらは本研究を進めるなかで新たに得られた研究の展開可能性であるが、とりわけ阪神淡路大震災については、2025年1月が震災30年の節目にあたるため、本研究から得られる知見の社会的意義はきわめて大きいものと考えられる。 これらの調査から得られた知見は学会報告および論文として公表するほか、シンポジウムや展示会を開催するなどして、本研究の成果を社会的に発信するよう努める。
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