人口減少時代の地方都市圏の空間構造の変容過程に関する地理学的研究
Project/Area Number |
21K01046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山神 達也 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (00399750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 慶之 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (20367014)
西山 弘泰 駒澤大学, 文学部, 准教授 (20550982)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 地方都市 / 都市圏の空間構造 / 都市発展モデル / 産業構造 / 金融化 / 都市のスポンジ化 / 郊外住宅地の再生 / 通勤圏 / デベロッパー / 首都圏資本 / 地方資本 / 住宅地開発 / 低未利用地 / 都市圏 / 空間構造 / 中心市街地の空洞化 / 空き家 |
Outline of Research at the Start |
近年の日本社会では地方都市の役割が期待されており、地方都市で生じる様々な問題についての現象理解を深めて政策議論に繋げる研究が必要とされる。その際、都市とその周辺地域で構成される都市圏単位での分析が不可欠である。本研究では、(A)人口分布の変動過程の分析と(B)中心市街地空洞化の実態解明を通して、地方都市圏の空間構造の変容過程の一般性を考究する。以上の成果は政策ともリンクし、関連分野などにも有効な知見を提示しうる。
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Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍が継続するとともに研究分担者の西山は異動で多忙だったため、共同での地域調査は実施できなかったが、各メンバーは個別に分担内容の研究を進め、以下の成果を得た。 【山神】2021年の人口地理学分野の研究動向を学界展望として整理した(人文地理74-3)。また、地方部の小中心地の郊外にあたる和歌山県古座川町の人口動態について、少子高齢化の進展に伴う人口の減少過程を明らかにしたほか(和歌山大学KiiPlusジャーナル2)、和歌山県下を7つの都市圏に区分して都市発展モデルを適用し、中小都市圏では中心都市への相対的な集中が継続したことを明らかにした(和歌山大学教育学部紀要:人文科学73)。地方都市をめぐる人口動態が明らかとなり、地方創生に向けた施策を考える基盤となる。 【菊池】地方都市における土地の所有と利用の今日的状況の一つとして、岡山県津山都市圏を事例にメガソーラー開発を取り巻く主体間関係を検討した。地方都市における大規模なメガソーラー開発においては、大都市圏の大規模発電事業者が、金融市場から調達した資金で、地方圏の低未利用地を賃借してメガソーラーを開発し、収益を投資家に分配する開発形態が急増している。人口減少や産業空洞化を背景に、地方圏で増加する低未利用地が、グローバルな金融市場に取り込まれるプロセスの存在が示唆される(地理学評論96-1)。 【西山】日本の様々な規模の都市について人口集中地区の面積や人口密度の分析を行った結果、地方部の県庁所在都市やそれに準じる地方中都市では、都市のスポンジ化が進行していることを明らかにしたほか(地域学研究36)、コンパクトシティの施策を採用したことで知られる青森市について、郊外住宅地における空き家の現状と新築住宅の建設状況などを整理・紹介するなど(地理67-11)、スポンジ化が進む地方都市の現状と政策的対応を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が継続するとともに研究分担者の西山は異動で多忙だったため、共同での地域調査はできなかったが、個別に調査・研究に取り組んだ。当初の構想とは異なる形だが、個別に地方都市圏の人口動態や郊外住宅地の状況、低未利用地の開発などに関する研究成果が蓄積された点で、おおむね順調に進展していると評価できよう。各メンバーの研究の進捗状況は以下の通りである。 【山神】大都市圏に隣接しつつも地方部としての性格が強い和歌山県を事例として、都市発展モデルを基に人口分布の変動過程を検証したほか、中規模都市郊外の労働力状態や小規模中心地郊外の少子高齢化など、地方部の中小都市圏の空間構造を明らかにした。また、人口地理学分野の研究成果を整理した学界展望を執筆したのに加え、通勤流動に関する研究動向を整理したうえで、近年の近畿圏における通勤流動の検証を進めている。 【菊池】国勢調査や住宅土地統計調査などの統計資料とともに、住宅地図や土地登記簿をもとにデータ収集を行った。また、低未利用地の利用事例を中心とした都市圏の空間構造に関する分析作業を進めており、その成果の一部は、メガソーラー開発を事例とした地方部の土地の金融化に関する論文として地理学評論に掲載された。 【西山】全国の都市を対象として人口集中地区の変遷を分析し、地方都市では人口集中地区の面的拡大と人口の低密化が進む都市のスポンジ化が進行していることを明らかにしたほか、宇都宮市や青森市を事例として、都市の空間構造の変遷に関する論考を執筆した。現在、2022年度に青森市で実施した現地調査の結果を取りまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続き、各メンバーは分担内容に関する研究を進める。また、共同での現地調査や議論を行い、地方都市圏の変容に関する共通認識を深め、共著による論文執筆を目指す。各メンバー及び共同での研究の推進方策は以下の通りである。 【山神】通勤流動に関する研究成果の整理と近年の近畿地方における通勤流動の分析結果について『日本の都市地理学研究』(阿部和俊編、詳細未定)に執筆する。また、ワーケーションの推進が地方都市圏に及ぼす影響や地方都市圏の空間構造の変容過程に関する共同研究を中心的に推し進める。 【菊池】地方都市圏における土地の所有と利用の状況を、人口減少や産業空洞化を背景とする低未利用地の増加の視点から検討する。2021-22年度に整理したデータをもとに産業構造と土地利用の変化の関係の分析を進める。 【西山】2022年度に実施した青森市での現地調査について、秋の日本地理学会での発表と査読誌への投稿を行う。また、日本の県庁所在都市の中でも特にスポンジ化が著しい福井市と甲府市の都市圏を事例に、人口動態や空き家の分布、住宅を中心とする建築物の新設などについて、現地調査により実態を把握する。 【共同調査・研究】和歌山県田辺市・白浜町を事例として、ワーケーションの推進が地方都市圏に及ぼす影響について現地調査を実施する。また、この現地調査やこれまでの成果を含め、人口減少が進む日本における地方都市圏の空間構造についての議論を重ね、論文を執筆する。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)