Project/Area Number |
21K01056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 登 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (50273503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | プナン / ヴァイ・スガン / 民族 / イスラム化 / サラワク / マレーシア / ビンツル / 山地ー平地関係 / 流域社会 / 民族関係 / 山地ー平地 |
Outline of Research at the Start |
本研究においては、中流域調査の課題を「擬似下流」でのイスラム化、そして汽水域・沿岸部調査の課題を文化変容と民族間関係理解として、以下の諸点に関する臨地調査を行う。 ・ 集落移動史、親族集団の分立移動史 ・ 家族・親族・集落の民族的構成、親族関係の系譜的理解、言語使用状況 ・ 世帯・集落の生業ポートフォリオ、生業履歴、土地利用・ランドスケープ改変史 ・ ライフ・ヒストリー、ライフ・コースとミクロ・ヒストリーなどの聞き取り ・ The Sarawak Gazette(植民地期官報1871-1941)に記載された歴史・民族誌的情報の収集
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、15世紀以降東南アジア海域世界で継続しているイスラム化について、ボルネオ島における山地民の臨地研究を通して分析し、従来、沿岸部や平地を中心に理解されてきた東南アジアのイスラム化理解に新しい視点を提供する。さらに、イスラム教の拡大を、宗教現象のみならず、現地社会における社会変化と文化変容のエージェントとして検討する。ついては、河川水系を単位とする社会システム(流域社会)をもつマレーシア領サラワク州クムナ川水系を例に、山地民起源のイスラム系集団の民族間関係、親族関係、生態環境適応、人口移動、生業転換、言語使用などに関するデータを多地点調査から収集し、山地民のイスラム化を史実ではなく共時的プロセスとして考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究『海域東南アジア山地民のイスラム化に関する基礎研究:「山地-平地」関係理解にむけて』においては、ボルネオ島のマレーシア領サラワク州のインドネシアに隣接する国境部の山地社会における元採集狩猟民のイスラム教への改宗ならびに民族アイデンティティの変化を検討するものである。調査地が隔絶された内陸部であること、ならびにインフォーマントの多くが高齢者ということでコロナ禍によって長期に渡って調査地域に外国人研究者が入ることが不可能であった。その後、マレーシア、サラワク州においてもコロナによる入国規制が緩和された後も、コロナ禍によって調査地域の元採集狩猟民の多くが森での採集狩猟活動に復帰、もしくは都市部への短期移住を行い、山地社会の空洞化が進行した。平成6年度の現在、多くの住人はロングに帰村し、ハウスコミュニティ人口もコロナ以前のレベルに復帰しており、令和6年度は臨地調査が可能となっている。 このようなコロナ禍による臨地へのアクセスが限定された状況においては、山地民のイスラム化に関する史資料の探索ならびに読解を進め、十分な研究成果を得ることができた。調査・研究対象となった植民地資料『サラワク官報』を1871年より1963年に渡る92年間に渡る行政官による地区報告(英文)を精読し、山地少数民族(Penan, Punan, Vaie Segan, Bakong, Narumなど)のイスラム化に関する記述の書き起こし作業を行った。これらの資料は、サラワク州クチン市ならびにビンツル市在住の共同研究者であるJayl langubならびにCalvin Jemarangに資料のPDF化を依頼し、無償で送付された膨大な資料の読解を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究『海域東南アジア山地民のイスラム化に関する基礎研究:「山地-平地」関係理解にむけて』においては、ボルネオ島のマレーシア領サラワク州のインドネシアに隣接する国境部の山地社会における元採集狩猟民のイスラム教への改宗ならびに民族アイデンティティの変化を検討するものである。調査地が隔絶された内陸部であること、ならびにインフォーマントの多くが高齢者ということでコロナ禍によって長期に渡って調査地域に外国人研究者が入ることが不可能であった。その後、マレーシア、サラワク州においてもコロナによる入国規制が緩和された後も、コロナ禍によって調査地域の元採集狩猟民の多くが森での採集狩猟活動に復帰、もしくは都市部への短期移住を行い、山地社会の空洞化が進行した。平成6年度の現在、多くの住人はロングに帰村し、ハウスコミュニティ人口もコロナ以前のレベルに復帰しており、令和6年度は臨地調査が可能となっている。 臨地調査は制限されたが、以上の史資料調査によって得た情報は英文5054語にのぼり、東南アジア山地における少数民族のイスラム改宗の歴史的動態理解に資する極めて貴重な第一次資料となった。これらの調査研究成果は、令和6年9月10日から12日にマレーシア、サバ州のマレーシア・サバ大学(UMS)で開催される国際学術集会Borneo Research Council Biennial Meeting における招待講演で『海域東南アジア山地民のイスラム化に関する基礎研究:「山地-平地」関係理解にむけて』と題する論文を発表する。 令和6年度は、臨地調査ならびに、上で述べた集会を含めて複数の国際集会で研究成果を発信することを計画している。
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