在日ムスリム女性の感染症に対する認識・態度・行動と文化社会的要因―結核に着目して
Project/Area Number |
21K01062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
桑野 紀子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30550925)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 在留外国人 / 在日インドネシア人 / ムスリム女性 / 感染症 / 結核 / 文化社会的要因 / 在日ムスリム女性 / インドネシア |
Outline of Research at the Start |
2019年国内新登録結核患者のうち20歳代では外国生まれ患者が約7割を占め、対策が急務である。来日数が増加傾向のインドネシアでは中・印に次ぎ結核患者が多い。同国はイスラム教徒が約9割を占めるが、ムスリム女性は来日後結核を疑う症状があっても宗教を背景とした社会慣習的要因から受診が遅れる可能性がある。本研究ではインドネシア出身の在日ムスリム女性を対象とし、結核に対する認識・態度・行動について質的・量的調査を実施する。データ収集、結果の分析・解釈ではインドネシア在住ムスリム女性研究者と協力し、現地の結核蔓延状況、ムスリム女性の疾病観や健康観をふまえて対象理解を深め、有効な結核対策について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,在留外国人の感染症対策について、特に結核に着目し、文化社会的側面から検討する。調査2年目である令和4年度は、在日インドネシア人ムスリム女性の結核に対する認識・態度について、文化社会的背景を踏まえて考察することで必要な支援について検討することを目的とし、質問紙調査を実施した。 インドネシア出身で18歳以上の在日ムスリム女性を対象とし、無記名アンケート調査を行った。質問は「属性」、「結核に対するイメージと態度」、「結核に関する知識」、「情報取得の機会」、「結核罹患時の対応と治療場所の希望」等であった。 結核のイメージについて「年代を問わず自分を含め誰もがかかる可能性のある怖い病気である」と考えている人が多く、結核高蔓延国であるインドネシアで得たイメージが日本在住の現在のイメージにも影響を与えていると考えられた。自分がもしも結核に罹患し治療が必要となった場合、「なるべく一人でいた方がいい」と考える人が多く、結核が感染性疾患であることを理解している一方で、罹患したことを隠したいと思っている人は約3割であった。インドネシアでは結核に対するスティグマは顕著ではなく、社会全体の問題と捉えていることが推察されたが、結果の解釈は今後予定している質的調査の結果と統合して考える必要がある。結核に関する知識については、重症化した際の症状を約3割の人が認識できていなかった。結核の治療場所としてはインドネシアを希望した人が約2割いた。また、日本の医療機関へのアクセスに困難を感じている人は少なくなかった。 今後は、同対象者のうち了承の得られた複数名に対し、対面でのインタビュー調査を実施予定である。上記量的調査で得た結果と統合し、研究全体として解釈し、まとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた研究デザインを、COVID-19感染拡大の影響により、一部変更する必要があったため、やや遅れている。 具体的には、申請当初はミックスドメソッドの順次的探索的デザイン(質的研究→量的研究)を予定していたが、初年度ははCOVID-19感染拡大により対面でのインタビュー調査が難しくなったため、順次的説明的デザイン(量的研究→質的研究)に変更した。 研究デザインの順序性変更を余儀なくされたが、結果として順次的説明的デザインが本研究により適していたと考えている。次年度は鋭意質的調査を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度もインドネシアの看護学部教員である研究協力者との連携を密にしながら、在日インドネシア人ムスリム女性を対象としたインタビュー調査の準備を進め、実施する。 インタビュー調査では、インドネシア語と日本語および英語が堪能な通訳に同席してもらい、インタビュアーである研究者と対象者間の意思疎通を担保する。また、結果の解釈においては、インドネシアの研究協力者と十分な議論を行う。 令和4年度に実施した質問紙調査の結果と本調査結果を併せ、実態に即した解釈に努め、在日ムスリム女性の結核対策に関する具体的提言につなげていきたいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)