「縁結び」とコミュニティ構築に関する比較研究:日本とチベットの事例から
Project/Area Number |
21K01067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Kyoto University (2022-2023) Kanazawa Seiryo University (2021) |
Principal Investigator |
小西 賢吾 京都大学, 人と社会の未来研究院, 特定准教授 (80725276)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 宗教 / 縁 / 共同性 / 偶然性 / 日本 / チベット / 集合的身体 |
Outline of Research at the Start |
つながりを表す「縁」の概念は、アジアの仏教圏で広く共有されているが、それと西洋由来のコミュニティ論との接点は未だ十分に論じられていない。本研究では、縁の持つ偶然性に注目し、それが既存の社会関係を越えた共同性を生み出す可能性を探究する。具体的には、チベットと日本における「縁結び」に関わる宗教実践の参与観察と、通文化的文献研究を組み合わせ、現代社会における共同性をとらえる新たな理論体系を構築することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代チベット社会における宗教実践を通じたつながりの構築メカニズムを、日本における「縁結び」をはじめとする、つながりとしての「縁」をめぐる諸実践と比較し、他者との出会い(邂逅)がいかに共同性を構築するのか、そしてそれが既存のコミュニティといかに関わるのかを明らかにすることを目的としている。 3年目にあたる今年度は、①祭りをはじめとする宗教実践における「祭縁」を身体をベースとしてとらえるための「集合的身体」概念の理論的研究、②日本の祭りにおけるフィールドワークによる、祭縁の存続に関するデータの収集、③チベットのボン教徒における縁とつながりに関する文献研究の3つを軸に研究を進めた。①においては、これまでの研究の蓄積を踏まえて、宗教実践の経験的記述から縁をとらえるために「身体がともにあること」から出発し、「一体感を感じつつ個人の自律性が担保されていること」に焦点をあてた作業概念の構築を行った。②では、秋田県と石川県の祭りを対象とする調査から、人口減少の中で人びとをつなぎ祭りを存続させる要因の分析を行った。そこで着目されたのは、戦術の集合的身体を媒介として共有される感情、とくに期待や希望に関わる部分である。③においては、チベットおよびヒマラヤ地域における調査によって得られた文献資料から、ローカルな地域をこえた尊格の信仰や、僧院間でやりとりされる通知文書などについて分析した。そこでは、仏教的な概念である縁がいかに普遍性を獲得しながら人びとをつないでいくのかという点が注目された。以上の成果の一部は国内外のシンポジウムにおいて発表され、多様な研究者との議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、本プロジェクトによる現地調査は国内を中心にしたものとなったが、研究成果のとりまとめに向けた重要な理論的視座を構築できたこと、またこれまでチベット・ヒマラヤ地域で入手した文献資料の分析も順調に進んだことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究成果のとりまとめに向けて、成果の学会発表と論文化を進める。調査データの不足点について、補足の現地調査も実施する。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)