「使わない」貨幣の文化人類学的研究:キャッシュレス決済と貝殻貨幣の比較を通して
Project/Area Number |
21K01080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
深田 淳太郎 三重大学, 人文学部, 准教授 (70643104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 経済人類学 / 伝統貨幣 / 貝殻貨幣 / 文化的アイデンティティ / キャッシュレス決済 / 負債 / 投資 / 貨幣 / 原初的負債論 / キャッシュレス |
Outline of Research at the Start |
モノとしての貨幣を使わないキャッシュレス決済や暗号資産は、交換の利便性を上げる貨幣の「進化」として捉えられる。だが広い歴史的・民族誌的な視野から見れば、これらと類似した交換システムは様々に存在する。本研究では、その一事例としてパプアニューギニアの貝殻貨幣タブを取りあげる。トーライ人は種々の交換において、貝貨を「使わない」まで含めた様々なやり方で用いる。彼らが貝貨使用の特定のプロセスを強調/省略する様子と、現代日本のキャッシュレス決済が単に現金を除去するだけでなく、そこに「情報」という新たな要素を付け加えようとすることを比較しつつ、文化人類学的な観点から貨幣についての考察を深めていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年7月-9月上旬に、パプアニューギニア、東ニューブリテン州ラバウルに滞在し、フィールドワークを実施した。今回の調査で特に注目したのは、現地に住むトーライ人の伝統的貨幣である貝貨タブが、経済的な目的を果たす貨幣として「使われず」、にトーライ人の文化的アイデンティティの象徴として使われるのかである。特に重点的に調べたのは以下の二点である。 (1)貝殻貨幣タブをトーライの伝統文化の象徴としてアピールする動向について:2023年8月にヴァヌアツで開催された、Melanesian Festival of Artsへの出展、および同年9月に開催されたEast New Briain Shell Money Festivalの開催を主導した、East New Britain Shell Money Foundationの関係者へのインタビューを複数回実施し、具体的な活動の内容について、また動機や狙いについての情報を収集した。 (2)貝殻貨幣タブをモチーフにした服飾品デザインについて:貝殻貨幣タブをモチーフにしたファッションアイテムが2019年以降流行の兆しを見せている。これらのファッションアイテムを販売している、いくつかのデザイナーやスーパーマーケットなどの関係者にインタビューを実施し、デザインの意図や、流行の源泉、販売戦略などについてインタビュー調査を実施した。 いずれの調査からも、近年の貝殻貨幣タブおよびそれを使用するトーライ人を取り巻く状況が、大きく変化しつつあることがうかがえた。まだ十分な証拠は揃ってはいないが、パプアニューギニアの国家の内部におけるトーライ人の相対的な位置づけが、経済的政治的に低下しつつあることが重要な意味を持つのではないかと推測される。この点については、来年度以降も引き続き検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの流行の影響を受けて、現地での調査の進行が遅れていたが、2023年度は二ヶ月半にわたって現地調査が実施できたため、遅れを取り戻すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト最終年度には、研究成果のとりまとめを行なう。成果は日本オセアニア学会における研究発表および論文として投稿もしくは出版する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)