Project/Area Number |
21K01094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
笹原 亮二 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 教授 (90290923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 島嶼 / 移住 / 北海道 / 小笠原群島 / 種子島 / 北大東島 / 南大東島 / 島 / 民俗芸能 / 祭 / 移住者 |
Outline of Research at the Start |
日本列島の周辺には、日本の社会が政治・経済・文化といった様々な面で「近代化」という大きな変化を余儀なくされた明治時代以降、国家主導の開拓、資本家の水産業や農業等の経営拡大、自然災害の被災者の生活再建のための入植等を目的として、それまでみられなかった形の移住が行われるようになった島々が存在する。本研究では、北海道周辺の島々・小笠原諸島・大東諸島・種子島等、そうした島々における、明治時代以降の移住者の新たな社会の形成やその後の維持や存続と、そうした社会を基盤に営まれた移住者の民俗文化としての祭や芸能の創始や伝承について、具体的な様相の解明を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、北海道立図書館北方資料室・札幌市立中央図書館において、奥尻島・焼尻島・天売島・利尻島・礼文島といった北海道周辺の島々への東北地方を初め国内各地からの人々の移住について、東京都立中央図書館において、父島・母島・硫黄島などの小笠原群島の島々への八丈島などの伊豆諸島各地やその他の国内各地からの人々の移住について、鹿児島県立図書館・鹿児島県立奄美図書館において、鹿児島県種子島への同県甑島などの南九州の島々や同県徳之島などの奄美群島の島々からの人々の移住について、沖縄県立図書館・那覇市立中央図書館において、北大東島・南大東島への八丈島などの伊豆諸島の島々や沖縄各地からの人びとの移住について、明治時代以降の移住先における集落や地域コミュニティの形成と祭りや芸能の創始と伝承の様相に注目して、先行研究、地域の歴史や民俗に関する研究誌、調査報告書などの関連する文献について調査を実施し、必要なものを収集した。また、沖縄県立芸術大学芸能文化研究所、瀬戸内町立図書館・郷土館などにおいて、本研究に関連する地域の祭りや芸能の研究に長年従事してきた研究者と面談し、情報収集を行った。 その結果、北海道周辺の島々では、移住以降早い時期に神社を勧請した集落が多いが、移住元の芸能を移住先で伝承する場合としない場合があり、その差は何に起因するか、伊豆諸島の習俗の優越が各方面で認められる小笠原群島各地で、祭りや芸能においても同様の優越が認められるか否か、種子島に移住した人々の集落において、奄美群島や南九州の島々など移住元の違いが集落や地域コミュニティーの形成や祭りや芸能のあり方に影響を与えた可能性があるか、小笠原群島の硫黄島や南北大東島はいずれも同様に拓殖企業による開発が行われたが、集落や地域コミュニティの形成や祭りや芸能の創始や伝承について異同があるか否かといった様々な課題が浮上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を開始した1~2年目は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や流行がみられたため、本研究の対象となる北海道周辺の島々、東京都小笠原群島、鹿児島県種子島、沖縄県南大東島・北大東島などや、それらの島々が属する自治体などの図書館や資料館に赴き、現地調査や各種資料・情報の収集などを実施することが適わず、従来行った各地の島々に関する調査研究で収集した手持ちの関連文献、所属する国立民族学博物館や近隣の図書館が所蔵する関連文献や図書、各地の図書館から取り寄せた関連文献や図書などの限られた資料のみで研究を進めざるをえず、資料の不足のために研究を当初の予定通り進めることは適わなかった。 令和5年度は、新型コロナウイルス感染症が五類に移行したこともあり、当初の計画で前年度までに予定していた各地の図書館や資料館における関連する資料や情報の調査や収集を開始した。しかし、それぞれの施設では、本研究の対象となる各地の島々の現地調査に未着手で、それらの島々に対する土地勘が十分ではなかったことに加え、それらの施設で本研究に関連する各種の資料や情報の調査に初めてとりかかったこともあり、それらの施設が所蔵する各種の資料や情報の全容の把握に時間がかかったことなどから、資料や情報の調査を必ずしも年度内には十分なかたちで行うことができなかった。その結果、必要な資料や情報の収集も不十分なものにとどまった。 また、各地の島々の現地調査に関しては、新型コロナウイルス感染症が五類に移行したとはいえ、同感染症の流行は依然継続していて、それらの島々の医療体制などの社会インフラが北海道・本州・九州側に比べて脆弱なことを考慮すると、現地調査の実施についてはより慎重な姿勢が必要と思われた。したがって、令和5年度は実施を見送った。 以上のことから、本研究の現在までの進捗状況は、当初の計画に比べて遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、新型コロナウイルス感染症の5類以降から1年が経過し、国内外の旅行者も同感染症の流行以前の状態に近づきつつあるが、今のところ顕著な感染拡大の報告もないことなどから、同感染症の流行は昨年度以上に収束に向かっていると思われる。したがって、今後は、本研究で当初予定していた奥尻島・焼尻島・天売島・利尻島・礼文島といった北海道周辺の島々、東京都小笠原父島、鹿児島県種子島、沖縄県南大東島などの各地の島々における現地調査を中心に研究を進めたい。 また、各地の島々の現地調査と並行して、それらの島々が属する自治体などの図書館や資料館などにおける、関連する先行研究・地域史(誌)・調査報告書などの各種資料や情報の調査や収集も並行して実施したい。 本研究は、開始が新型コロナウイルス感染症の感染拡大や流行の時期と重なったために、当初の研究計画に遅れが生じることを余儀なくされた。特に本研究は現地調査を基本とするので、同感染症の流行で現地調査を控えざるを得なかったことによる影響は看過できないものがあり、現地調査や、図書館・資料館などにおける各種資料の調査や収集のいずれにおいても、当初の計画から1~2年程度の遅れが生じている。したがって、可能であれば、研究成果のとりまとめまでの期間を更に確保するなど、研究計画についても再検討を試みたい。
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