The Role of Freed Slaves in Roman Law of Contract
Project/Area Number |
21K01114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
五十君 麻里子 九州大学, 法学研究院, 教授 (30284384)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 解放奴隷 / 委任 / ローマ古典法 / ローマ法 / ユスタ事件 / 信託遺贈 / ローマ契約法 / 奴隷と主人 / 庶民の法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、「庶民」の多くを占める解放奴隷に焦点を当て、元主人と解放奴隷の関係や解放奴隷を主体とする取引の特徴等を導き、その知見に基づいて、これまでのネガティブな元主人・解放奴隷関係にとらわれず、法と解放奴隷のポジティヴな面も含めた全体像に迫ることを目的とする。この際、法史料のみならず文学史料も渉猟し、かつ国際的な意見交換や共同研究を行なって、研究を学際的・国際的レベルへと引き上げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、契約法分野で解放奴隷が登場する法文において、解放奴隷が元主人に提供すべき労務(opera)が目的となる事例や恭順義務を扱う事例を扱っていない法文、とりわけD.16,3,1,14、D.17,1,12,8に注目する計画であったので、本年度はこれらの法文を集中して検討し「庇護と自立のはざまでー古典期ローマ法における解放奴隷と委任に関する一考察(法政研究89-3)を執筆した。 この研究を通じ、1)D.3,5,30 pr.によると解放奴隷に委任することは一般的であったことがうかがえること、2)委任を扱う学説彙纂の章であるD.17,1において解放奴隷が委任契約の当事者として現れる法文はD.17,1,12,8の1法文しかないこと、3)他方、D.16,3,1,14では元主人が受任者に解放奴隷との取引を委任していること、4)同様に委任者が第三者との取引を受任者に依頼する法文はD.17,1に多く存在すること、が判明した。このことから、法史料にopera関連以外での解放奴隷の言及が極めて少ない理由を、解放奴隷が市民として完全に統合されていたことに求める端緒を得ることができた。 さらに、これらの法文の分析を通じ、元主人と解放奴隷の関係として、解放奴隷が1)元主人から完全に独立して取引を行う例、2)元主人の事務を解放奴隷が独立の主体として行う例、3)独立して取引を行うも元主人の保証を得る例、4)一時金を受け取って独立する例、5)元主人の履行場所となっている例、が見出された。法史料を用いたこのような研究は、管見の限り、世界的にも例がない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、本研究の過程で、研究計画にない重要な発見があったため、計画の遂行を中断していた。本年度は本来の計画に戻り、昨年度の分も取り戻す研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ユスタ事件に関する論考が、ローマ法分野では世界最高峰であるサヴィニー雑誌に掲載される予定であり、そのフォローを行う。また、法史料における解放奴隷への言及が少ない理由を探る端緒を得ることができたので、これをさらに発展させる予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)