Project/Area Number |
21K01128
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉野 夏己 岡山大学, 法務学域, 教授 (90379834)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 名誉毀損 / スラップ / 表現の自由 / 現実の悪意 |
Outline of Research at the Start |
「嫌がらせ訴訟」とも定義される「スラップ(SLAPP)」対策についは、人格権としての名誉権保護及び裁判を受ける権利と、表現の自由を対立軸として、憲法、刑法、民法、訴訟法など多様な法領域にまたがる法解釈論が求められ、加えて裁判官の訴訟指揮を含む訴訟実務のあり方、さらには、スラップ被害防止法制定などの立法政策について、横断的・多角的視点での検討が求められるところ、わが国においても、「現実の悪意」基準を不法行為法の解釈に取り入れるなど、表現の自由の価値を基底とするスラップ救済法理を探る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
スラップ対策に関する動向は流動的である。アメリカ合衆国では、2022年現在、32の州及び1つの地域でスラップ被害防止法が制定されている。また、統一州法に関する全国委員会が、2020年7月にモデル「統一公的表現保護法(Uniform Public Expression Protection Act (UPEPA))」を提示した。他方、2015年にワシントン州、2016年にミネソタ州の最高裁判所が、それぞれのスラップ被害防止法を違憲と判断している(なお、ワシントン州は、2021年5月にUPEPAバージョンを新たに制定している)。そして、約20の州は、スラップ被害防止法の制定に消極的である。注目すべきは、2022年2月、「国連ビジネスと人権ワーキンググループ」は、声を上げる人権擁護者を脅迫し黙らせることを目的としたスラップ訴訟に対して警鐘を鳴らしている。国に対しては、スラップ被害防止を制定するべきであるという提言がなされ、また、企業に対しては、名誉毀損による損害に対して巨額の賠償を要求すべきではなく、人権擁護者への攻撃・報復を防ぐために人権デュー・ディリジェンスを実行すべきであると指摘している。 本研究の2022年度の目標は、前年度に引き続き、「学説を網羅的に調査・検討」することを主眼とし、「法分野別に紛争を類型化して分析を行う」ことを目標としている。この計画に従い、前者に関しては、これまでの研究の集大成として、アメリカ合衆国の概要を含め、名誉毀損法の憲法化及びスラップ対策に関して、『名誉毀損訴訟と表現の自由』(成文堂、2023年9月刊行予定)を出版予定である。また、後者に関しては、『「スラップ訴訟」の意義と実務対応(仮)』(日本法令出版、2023年10月刊行予定)において、日本におけるスラップ訴訟の現状及び有効なスラップ対策を分析している
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『名誉毀損訴訟と表現の自由』(成文堂、2023年9月刊行予定)及び『「スラップ訴訟」の意義と実務対応(仮)』(日本法令出版、2023年10月刊行予定)の両者とも、出版社に原稿を提出済みであり、現在、校正段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
スラップ訴訟を巡る動向は流動的である。日本においても、多くのスラップ事例が報告されており、注目を集めている。日本では、スラップ対策が、果たして実体法的対策なのかか、あるいは、立法論なのかについて混乱しているように思われ、仮に、スラップ被害防止法の導入を検討するのであれば、表現の自由の価値基底論の探求、司法原理との接続、立法事実の検討など多くの課題を解決することが必要である。前年度に引き続き、できる限り多くの事例を分析して検討したい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)