Project/Area Number |
21K01142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
白水 隆 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (70635036)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 婚姻の自由 / 同性婚禁止の憲法適合性 / 複婚禁止の憲法適合性 / 権利の救済 / 日本国憲法 / カナダ憲法 / アメリカ憲法 / 同性婚 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、同性婚など伝統的な婚姻形態ではない婚姻形態を素材に、既にこの問題についての議論が進んでいる、カナダ及びアメリカ合衆国におけるそれぞれの婚姻形態の歴史的背景等の検討や判例及び学説の分析を踏まえ、法的な位置づけを整理する。次に、それらが日本の各種法令によって認められていない現状につき、日本国憲法のどの条項と抵触し得るのか、各条項の解釈や判例法理の検討を通じて、考察する。そして、最後に、以上の研究を踏まえて、日本国憲法が婚姻をどのように位置づけ、そして、婚姻の自由は何を保障しているのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、①カナダにおける複婚及び近親婚禁止の憲法適合性について研究を進め、日本との比較分析を行った。②また、同性婚禁止の憲法適合性をめぐる一連の訴訟の比較検討を行った。③加えて、本研究課題のメインテーマである「婚姻の自由」の意味内容につき、24条に関する諸判例を検討し、14条1項が規定する平等権と整合するよう24条を解釈することで、婚姻の自由により意義を持たせることができる可能性を考察した。 ①論文では、24条1項は、婚姻は両当事者の合意があれば原則誰にでも開かれた制度である点を規定し、2項は、現状の婚姻制度を仮に国が拡張または縮小する際には、14条1項の平等権概念と整合させ個人の尊厳に立脚し差別のない形で婚姻制度を構築しなければならない規定であると解釈することができるのではないだろうかと指摘した。そして、構造的に差別が残る複婚の禁止は少なくとも14条1項にも24条にも抵触せず、また、近親婚の禁止も構造上の差別が生じ得る可能性があると判断されれば、同様に憲法違反とはならないと結論付けた。 ②論文では、同性婚訴訟の(東京二次訴訟を除く)一審判決の比較検討を通じて、婚姻の自由に関しては、24条(とりわけ2項)と14条1項の議論が相互に重なり合っていることを指摘した。 ③論文では、ここ10年、裁判所は、家族や婚姻の在り方が問われる現代的な課題について社会状況の変化に則した法律解釈をしたり、いわば死文化していた憲法24条解釈に積極的に踏み込んだりしながら憲法判例の創造に寄与してきたことを指摘した。他方で、その緻密さという点においては、例えば、社会状況の変化をどのように捉えるのかについてはその検討が不十分であり、また、24条解釈についても、その社会状況が変化してないことを理由に立法裁量論に収斂させられてしまう点など、裁判所の硬直的な姿勢も同時に窺える点を批判した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度も在外研究を行ったため、邦語文献の収集等につき困難が生じたものの、若干の遅れが生じていた2022年度に比べ研究も進み、予定していた論文も公表できたことから、研究はおおむね順調に進展していると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
14条1項が規定する平等権と整合するよう24条を解釈することで婚姻の自由により意義を持たせることができる可能性を論じた論文については深く検討を行っていないため、更なる考察を加えた論文の公表を予定している。最終年度となる2024年度は、これまでの比較法的見地に加え、日本国憲法が婚姻をどのように位置づけ、そして、婚姻の自由は何を保障しているのかを明らかにするまとめの年度である。特に、2023年3月に下された同性婚に関する札幌高裁判決が、同性婚を認めないことが24条1項に反すると初めて述べたことから、同判決の分析を進める必要性が生じた。そのため、日本において判例の蓄積が見られる同性婚に焦点を当て、24条が定める意味内容及びその意義について引き続き研究を進める。
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