行政法の《法的安定性》の理論的相対化――行政活動の《継続的・適時的更新》のために
Project/Area Number |
21K01147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Fukuoka University (2023) Saga University (2021-2022) |
Principal Investigator |
児玉 弘 福岡大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30758058)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 法的安定性 / 行政法学 / 行政行為論 / 行政手続論 / 行政訴訟論 / 法と時間 / 諫早湾干拓紛争 / 原発訴訟 / 時間 / 継続的更新 / 適時的更新 / ドイツ行政法学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、行政処分等の行政活動がなされた以後に法・事実状態の変化があった場合における当該行政活動のあり方について、《法的安定性》すなわち《行政の安定性・継続性》を担保しつつ、時間の経過にともなう法・事実状態に対応するための《行政活動の継続的・適時的更新》を可能とする法理論の構築を目指す試みである。 具体的には、市民主導の行政手続および行政訴訟を構想し、時間の経過にともなう諸状態の変化に対応した柔軟で実効的な行政手続および行政訴訟の理論的基盤を構築する。 これにより、《法的安定性》を理論的に相対化させるとともに、《行政活動の継続的・適時的更新》を実現する法制度を設計する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、いったん行政活動がなされた以後に法・事実状態の変化があった場合における当該行政活動のあり方について、《行政の安定性・継続性》を担保しつつ、時間の経過にともなう法状態・事実状態に対応するための《行政活動の継続的・適時的更新》を可能とする法理論を提供することにより、市民の権利を実効的に保障する行政法解釈の指針を提供する試みである。 令和5年度においても、前年度に引き続き、行政法の《法的安定性》の各論的再検討として、大規模公共事業について、《法的安定性》に根拠づけられた法制度ないし法理論を洗い出し、その根拠づけが理論的に正当化されるかを行政法学上の議論にも立ち返りつつ問い直した。 具体的には、(1)開門確定判決(福岡高判平成22年12月6日判時2102号55頁)の強制執行の不許を求めて国が提起した請求異議を認めた福岡高裁判決(福岡高判令和4年3月25日訟月68巻5号377頁)に対する上告を棄却しまた上告申立てを不受理とした最高裁決定(最決令和5年3月2日判例集未搭載)が出された。一般的には、この最高裁決定をもって司法の「ねじれ」が解消したとか、司法判断が統一されたとかといわれている。しかし、国が確定判決により自らに課された法的義務を履行しないという事態を行政法学ないし行政法理論が従前想定していたとは考えられない。そこで、これらの裁判が行政法学に対して与える理論的影響を検討した。(2)上記の検討結果を日本法社会学会および環境法政策学会において発表した。(3)行政法学に関する論文・裁判例を網羅的に回顧し、展望を示す論文の執筆に関与したり、判例評釈をいくつか執筆することによって、個別法の観点から行政法学を再構成する視座を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度においては、当初計画していた、行政法の《法的安定性》の各論的再検討によって、時間の経過にともなう法・事実状態の変化があった場合における当該行政活動のあり方について、大規模公共事業(とりわけ諫早湾干拓事業と当該事業をめぐる紛争)を素材にして、理論的・制度的な検討を行い、その検討結果を発表することができたことなど、一定の成果をあげることができた。すなわち、具体的には、①諫早湾干拓紛争をめぐる諸裁判における国の訴訟追行はかなり特徴的であること、②従前の行政法学の見地からはこうした訴訟追行を説明することは困難であること、③むしろ説明責任の観点からは、こうした訴訟追行には問題点を指摘できること、を明らかにした。 また、行政法学に関する論文・裁判例を網羅的に回顧し、展望を示す論文の執筆に関与するとともに、判例評釈を複数執筆することによって、個別法の観点から行政法学を再構成する視座を得たことも重要な研究上の進展である。 他方で、諫早湾干拓事業とそれをめぐる紛争についての検討に時間および労力をかけすぎた。当該紛争の実態および歴史的経緯からすれば、その検討には一定の時間および労力がかかることは当然であるともいえるが、行政法における《法的安定性》の理論の再構成を企図する本研究にとって、行政法学ないし行政法理論への昇華という作業が今後必要となる。 以上を総合的に考慮して、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度(=研究4年度目・研究最終年度)においては、以下の点が重点的な課題となる。 第1に、行政法の《法的安定性》の各論的再検討、すなわち、これまで行ってきた大規模公共事業(諫早湾干拓紛争)および原発訴訟の分析・検討により得られた個別法ないし個別事案における時間の経過にともなう法・事実状態の変化があった場合の当該行政活動のあり方について、行政法総論上の議論ないし理論として位置づけ直す。 第2に、上記課題により析出された、時間の経過にともなう法・事実状態の変化があった場合の当該行政活動のあり方が、行政法学における一般的な理論として、行政手続・行政訴訟の文脈においていかに追究されうるか、を明らかにする。 第3に、これまでの文献調査による考察・検討による結果を比較法的な検討によってあとづける。とくにドイツ法・台湾法との比較を行う。その際、現地を訪問しての実地調査の可能性を探求するとともに、オンライン会議システムの利活用も柔軟に検討する。 最後に、以上の諸点をまとめることにより、《行政活動の継続・適時的更新》を可能とするための市民主導の行政手続および行政訴訟を観念し、当該観念をふまえた行政法理論を提示する論文を執筆する。
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Report
(3 results)
Research Products
(20 results)