「排除と包摂」から見る自決権の歴史実証的な見直しと「国民国家の国際法」の再構築
Project/Area Number |
21K01163
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022) Osaka City University (2021) |
Principal Investigator |
桐山 孝信 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (30214919)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 自決権 / 国際法学 / 先住民族 / 経済的自決権 / 帝国 / 国民国家 |
Outline of Research at the Start |
国際法上の自決権は人民の権利を承認する一方で、人民でない者の権利を排除する機能をはたしてきました。このことを念頭に置きつつ、「帝国の国際法」から「国民国家の国際法」への転換を遂げた現代国際法が、「人間の国際法」へと一層の転換を遂げるためにはどのような課題があるのかを、自決権に関わる正負の過去の事例を丹念にフォローし検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
国際法上の自決権をめぐる本研究課題を達成するには多方面からのアプローチが要求されるが、今年度は3つの領域で研究成果を、口頭発表(1回)と2つの論説として発表することができた。 1つは、自決権が国際法上の権利と承認された1960年代以来の大きな焦点となっている経済的自決権に関わる問題である。とくに「開発」をめぐって、主権とその制約の論理について、歴史的意味をたどり、今日的意義を論じた。今日、グローバルサウスと呼ばれることもあるが、かつては、先進国対発展途上国といった対抗関係において、途上国の主権の強調や先進国の援助義務が説かれていた時代から、途上国の分裂や人権の国際的保障の重視によって、国家ではなく企業その他の非国家アクターが重視される状況が生まれ、国際秩序の変容が見られることを指摘した。その成果を国際法外交雑誌に発表した。 2つ目は、21世紀になって自決権の主体として注目されてきた先住民族の権利が、国家の開発政策との関係でどのように認められるべきかをILO条約や国連先住民族権利宣言などの国際文書、世界銀行のインスペクションパネルといった世界銀行の融資による開発によって悪影響を受けた先住民族の救済メカニズムを分析して、現状を示した。その成果を『先住民族と法』と題する学際的研究の一部として発表した。 第3は、日本の状況に立ち戻って、第二次世界大戦後の日本の再建やアメリカに軍事的従属を敷いた安保条約などにたいして、日本の知識人(ここでは南原繁と恒藤恭)がどのように対応したかについて、特に民族の自決や平和主義がどのように機能したかを中心に口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はコロナ禍の影響から抜け出せておらず学会報告等の機会もオンラインに限られていたが、2022年度はコロナ歌もあったものの研究に一定程度のリズムが出てきたこともあり、2つの論説と1つの口頭報告を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2023年度は、2022年度のリズムを維持しつつ、2022年度に行った口頭報告を論説としてまとめること、及び課題全体を統括する視点からの論考を執筆すること、そしてこれまでの成果を一書としてまとめるべく、構成を検討する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)