戦争の脱領域化/個別化への対応としての国際人道法の機能主義的再構成に関する研究
Project/Area Number |
21K01171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
新井 京 同志社大学, 法学部, 教授 (10319436)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ウクライナ / ロシア・ウクライナ戦争 / ナゴルノ・カラバフ / 租借 / 沖縄 / ハイブリッド戦争 / プロクシによる占領 / ロシア / クリミア / 国際人道法 / 対テロ戦争 / 軍事目標主義 / 戦闘員資格 |
Outline of Research at the Start |
伝統的な国際人道法は、国家の正規軍による領土をめぐる抗争において、国民が国籍に基づき国家に統合され、正規軍構成員の地位を持つものだけが参加することを前提としてきた。すなわち、戦闘員・文民というstatusに基づく行為規範、保護の集大成として国際人道法が存在してきた。本研究はそのような国際人道法の構造が、個別化した脅威の把握、個人をピンポイントで狙う攻撃の可能性、ソーシャルメディア等の登場による国家・国籍の枠組みの溶解といった21世紀的戦争の現実にどのように対応でき、あるいはできていないのかを検討して、21世紀の国際人道法像を明確にすることを目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
武力行使の禁止、武力紛争における戦闘方法手段の規制、およびそれらの基本となる領域的秩序に関する研究を行った。 第1に、2022年2月24日に開始されたロシア・ウクライナ戦争との関連で、かかる明白な侵略行為において、武力紛争法がどのように適用され、かかる適用が侵略の違法性にどのように影響を受けるかを検討した。武力紛争法の適切な適用のために必要な一定の「価値中立性」の維持が、侵略に対する制裁、国際刑事法の適用(侵略犯罪の訴追)と緊張関係にあることを明らかにした。 第2に、ロシア・ウクライナ戦争が明らかにした他の問題として、戦闘の方法手段の規制に関する国際法(第一追加議定書)が未解決のまま放置していた争点に関して、根源的な挑戦が生じていることを指摘した。占領、攻囲、予防原則などがそれである。 第3に、武力紛争と領域法の関連について複眼的な検討を試みた。例えば、第2次世界大戦後の米国による沖縄の占領・統治に関して一次資料を用いた検討を行った。これまであまり議論されてこなかった米国の沖縄統治と戦時占領、平時占領、信託統治、領域租借といった諸概念との関係も検討した。そこから明らかになったのは、武力行使の結果による領域の取得に関するルールの確立期において、当事国が様々な法的テクニックにより「作られた曖昧さ」を存分に利用していたことが明らかになった。また別の問題として、領域紛争の平和的解決における当該紛争に関わる「武力行使」の合法違法が持つ意義を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシア・ウクライナ戦争の影響で、さまざまな場(主として国内)で研究報告と意見交換の機会が得られた。このことは、まだなお残存するコロナ禍による海外出張の制限を補ってあまりあるメリットをもたらした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降、海外出張を復活し、米国における公文書収集なども行っていきたいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)