Project/Area Number |
21K01196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
津田 雅也 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (80633643)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 少年法 / 特定少年 / 保護処分 / 犯情 / 少年年齢 / 少年法改正 / 少年の刑事事件 / 若年成人 / 原則逆送 / 55条移送 |
Outline of Research at the Start |
従来の刑事司法手続における年齢区分は、少年(20歳未満の者)と成人(20歳以上の者)の二つであったが、若年者の犯罪に対する刑事処分の特例等に関する法制審の答申により、両者の中間に若年成人(18歳及び19歳の者)ともいうべき類型が設けられた。こうした状況を踏まえ、本研究は、若年成人の犯罪に対する刑事手続の特例を設ける根拠やその具体的な内容について、比較法的な知見を踏まえて検討を加え、少年法と成人の刑事法の中間領域としての若年成人の刑事法制の在り方を提示することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、特定少年の年齢引き上げ可能性について2022年度に獲得した視座をさらに進展させること目的として研究を進めた。2022年度は、令和3年改正少年法は保護主義と並んで責任主義の適用を受ける特定少年をその対象としたことにより、少年法の役割を質的に拡大したこと、その質的拡大は若年成人にも適用しうることを明らかにした。これを踏まえ、2023年度は、特定少年に適用される責任主義の具体的内容を明らかにするべく、特定少年の保護処分選択基準として新たに設けられた「犯情の軽重」について検討を加えた。具体的には、①令和3年改正法における犯情概念の機能、②犯情概念の意義と考慮要素、③責任無能力の特定少年に対しうる保護処分賦課の可否ついて、特定少年に対する保護処分選択基準を明らかにすることを目指した。 その結果、①については、令和3年改正法は、2段階の局面で犯情を考慮していること(保護処分の種類選択、保護処分の期間選択)を条文解釈に即して明らかにした。②については、少年法独自の犯情概念を認める説と認めない説の2説があることを明らかにした上で、特定少年の中間層という法的性質に鑑みると、前者が妥当であることを明らかにした。また、特定少年に対して有効な処遇を提供するという目的からは、犯情の内容は特定少年の法的性質に照らして認めうる限りにおいて可能な限り広く解釈されるべきであることを明らかにした。これを踏まえて、③については、少年固有の責任(犯情を含む)概念を観念することによって、責任無能力の特定少年についても犯情の軽重を考慮して保護処分を選択する可能性がありうることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、特定少年に対する保護処分選択基準の研究を進展させ、特定少年には固有の責任概念を観念することが可能であり、その結果、責任無能力の特定少年にも保護処分を賦課しうることを明らかにした。その結果、本研究課題の最終的な目的である、若年成人層に刑事処分の特例を設けるべき理論的根拠の一部を解明し、さらに、そうした特例が特定少年に対する保護処分の選択という具体的な制度にも適用可能であることを示すこともできた。しかし、研究を進展させる過程において、少年固有の責任概念を解明するためには、アメリカ少年法におけるモデル論の議論を導入しなければならないことが明らかになったものの、時間的な余裕がないなどの理由により2023年度はこの点の検討を行うことができなかった。そのため、2023年度で完了予定であった本研究課題を1年延長し、モデル論の観点からの少年固有の責任概念を明らかにするという研究目的を設定して、その達成を目指すこととなった。研究を当初予定より延長したことから、研究の進展は「やや遅れている」ものと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に獲得した視座を発展させ、本研究を完結させることを目指す。すなわち、本研究課題の目的である、若年成人層に刑事処分の特例を設けるべき理論的根拠を示すとともに、その理論的根拠に基づいて特定少年の保護処分選択基準(とりわけ少年法64条の「犯情」概念)を示す。前者については、アメリカにおける少年司法モデル論の現状とその成果をまとめた論文を公表すること、後者については、日本の学説裁判例を踏まえて少年法64条の解釈を示した論文を公表することをそれぞれ目指す。
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