占有移転型担保物権における占有移転の機能・意義の再検討
Project/Area Number |
21K01215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
直井 義典 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (20448343)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 質権 / 占有 / 共有 / 担保法改正 / 担保物権 |
Outline of Research at the Start |
本研究は担保物権における占有の意義を明らかにすることを目的とするものであり、以下の4つの問題に取り組む。 第1に、質権の効力要件が「引渡し」(民法344条)とされる理由の明確化、第2に、担保公示手段の中で占有という担保公示手段が有する意義・限界の明確化、第3に、担保権実行局面で、占有が有する機能を再評価する余地の有無の検討、第4に、質権という一体的概念の存在意義の検討、である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第1に、わが国における占有移転型担保物権の中心である質権の総則規定の内容の分析、第2に、担保権の準共有の場合において準共有者のうちの1人のみによる担保権実行の可否に関する検討を行った。 前者については、わが国の民法典には質権総則規定があるものの、質権総則規定を質権に共通の特質と断じるのは適切ではないとの考えに立ち、日仏のそれぞれにつき質権に共通する特質を法文を利用して抽出することを試みた。フランスについては、約定による設定が可能であること、書面作成が成立要件であること、質権者の果実収取権、裁判上の帰属・流質の認容等が、質権の通則として抽出された。わが国については、旧民法典の規定を分析した結果、約定による設定が可能であること、有体物が目的である場合には現実の占有が第三者対抗要件であること、転質が認められること、流質の禁止などが、質権の通則として抽出された。このように両国で質権の通則に必ずしも共通性が認められるわけではなく、統一された担保類型としていかなる内容を盛り込むかは自由に決定しうることが明らかとなった。 後者については、まず、根抵当権の準共有者による実行に関する裁判例の分析を行った。その結果、根抵当権の準共有が発生した原因が代位弁済である場合については、弁済による代位に関する特則が構築されていることから、他の原因による準共有の場合とは別途検討するのが適切であることが明らかとなった。また、学説の分析により、共有法理を根抵当権の準共有について適用するか否かは準共有者による実行の可否を決するものではないこと、共有関係からの離脱の可否も結論を左右しないことが明らかとなった。さらに、担保権の実行手続は占有移転型と非移転型とで相違がないことから、準共有者による担保権実行の容易さに事実上の影響はあるものの、結論に理論的な影響を及ぼすものではないことも明らかとなった。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)