私的整理と多数決による権利変更――英米法の経験を踏まえて
Project/Area Number |
21K01221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 利一 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 教授 (60273869)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 私的整理 / 多数決 / 法的整理 / 事業譲渡 / 倒産法 / 清算価値保障原則 / 倒産手続 / 裁判所の役割 / 私的整理の多数決 / クラムダウン / 事業再生 / 権利変更 |
Outline of Research at the Start |
近時の事業再生の実務では、私的整理で債務の減免を求める声がより強さを増す一方で、再建型の法的整理手続の利用件数が大幅に減少している。本研究は、事業再生における私的整理の理論的位置づけを模索するため、とくに法的整理との関係性を補助線として、多数決による権利変更が法的倒産手続で行われる根拠とその意義を検討し、事業再生における司法権の中核と役割を考究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、いわゆる需要の蒸発が起き、わが国の経済基盤を支える中小企業の多くは、資金繰りが著しく困難となり、このままでは死(破産清算)を待つしかないところまで追い込まれている。危機にある中小企業を救済する1つの方法として、その過剰債務を圧縮すること(債務の減免)が考えられる。その役割を果たすのは、伝統的に裁判所であるが、民事再生手続等の法的整理の事件数はここ数年低位にとどまったままである。一方、多数の事件が係属する中小企業再生支援協議会等の準則型私的整理では、少数の反対債権者の存在により、債務の減免が円滑に行われていない。本研究は、事業再生における英米法の経験を俯瞰・分析しつつ、私的整理と法的整理を架橋して、過剰債務の減免が適正かつ円滑に行われるための理論的基礎を探求することで、実効的なスキームの提案を目的とする。 2023年度は、アメリカ合衆国ペンシルヴァニア・ロー・スクールにおいて、David Skeel教授に対するインタビュー調査を実施した。アメリカ倒産法の基礎理論の動向、および世界的に注目をあつめる窮境時における事業譲渡スキーム(Distressed M&A)に関する諸事項について意見交換を行った。また、2023年11月に行われた全国倒産処理弁護士ネットワーク第21回全国大会「破産手続開始申立前の事業譲渡に関する諸問題」において、基調講演を担当し、その後のパネルディスカッションにも参加しコメントをした。これらは、一般社団法人金融財政事情研究会刊「事業再生と債権管理」184号(2024年4月5日号)において公表された(藤本利一「破産手続開始の申立てを前提にした事業譲渡―否認権行使の観点から―」同号4頁-13頁、藤本利一ほか「破産手続開始申立前の事業譲渡に関する諸問題」14頁-53頁)。これは本研究の目的である法的整理前段階の問題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属研究科における公務(独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構による法科大学院認証評価対応)のため、イギリスにおけるインタビュー調査等を実施するためのスケジュール調整ができなかった。研究の最終的な取り纏めのため、彼の地の研究者や実務家との意見交換は重要であるため、年度をあらため、こうした調査を実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今夏におけるロンドン・スクール・オブ・エコノミストのSarah Paterson教授に対するインタビュー、および、ロンドンに起点を持つ事業再生を扱っている法律事務所での調査を実施するべく、調整を進めている。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)