Project/Area Number |
21K01229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 研 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (90289661)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 準則型私的整理 / 私的整理 / 私的整理円滑化法案 / 私的整理の多数決化 / 私的整理の円滑化 / 事業再生 / 事業再生ADR / 産業競争力強化法 / 裁判外ワークアウト / 簡易再生 / 法的倒産手続 / 事業再生ADR / 私的整理と法的手続の連携 / 受け皿手続 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、私的整理における再建計画について対象債権者全員の合意を得ることができない場合に,法的倒産手続に円滑に接続することを可能とすることにより,迅速かつ実効的な事業再生を実現しようとするものであり,そのための方策として,私的整理において行われた手続の一部を以て、法的手続における手続に代替することによる「合流型」の連携について構想し、そのための具体的手続について立法論的に検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、私的整理における再建計画について対象債権者全員の合意を得ることができない場合に、法的倒産手続に円滑に接続することを可能とすることにより、迅速かつ実効的な事業再生を実現しようとするものであり、そのための方策として、私的整理において行われた手続の一部を以て、法的手続における手続に代替することによる「合流型」の連携について構想し、その具体的手続について立法論的に検討することを当初予定していたところである。 これにつき、研究期間初年度の令和3年度に、日本民事訴訟法学会大会におけるシンポジウム(「倒産法の立法論的検討」)において、基本構想を提案し、報告内容等について加筆修正の上、民事訴訟雑誌に公表したが、その後、内閣官房を中心に、私的整理への多数決原理の導入を内容とする、いわゆる私的整理円滑化法の策定に向けた動きが急激に進み、「新たな事業再構築のための法制度の方向性(案)」が令和4年10月に公表されたことから、それ以降、令和5年度にわたり、同案の分析を行なった。具体的には、文献資料などを通じて「新たな事業再構築のための法制度の方向性(案)」で提示されている制度的枠組みについて検討するとともに、関連するシンポジウム(事業再生実務家協会設立20周年記念大会―進化する「事業再生ADR」等)に参加することなどを通じて、最新の情報について収集を試み、また事業再生に詳しい実務家との意見交換を行った。 さらに、私的整理による法的倒産手続の代替を推し進めた場合に生じ得る、法的手続の形骸化・法的規制の潜脱という問題について、プレ・パッケージ型の倒産手続との関係で理論的検討の蓄積("サブローザプラン"に関する判例法理)があるアメリカ倒産法を参照することにより検討を進めるため、令和5年9月に米国(ロサンゼルス、およびシカゴ)に出張し、現地の研究者及び倒産実務家との意見交換・ヒアリングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
【研究実績の概要】において記載したとおり、令和4年10月に、内閣官房より「新たな事業再構築のための法制度の方向性(案)」が公表され、私的整理の多数決化を内容とするいわゆる「私的整理円滑化法案」の骨子が示され、パブリックコメントに付された。 「私的整理円滑化法案」が示す方向性は、私見において構想していた、私的整理と法的倒産手続の合流型の円滑な接合(連携)とは異なるものであるが、当初の報道によれば、同案については令和5年の通常国会での法案提出を目指して検討が進められているとのことであったことから、それを前提として、研究計画を組み替える必要が生じた。しかしながら、その後、同法案は国会に提出されないまま、ペンディング状態が続いている(令和6年度通常国会提出予定法案にも含まれていない)。そのため、同案の内容についての検討を進めるとともに、事業再生の方向性について、一つの方向性に絞るのではなく、債務者の状況等に応じて複数の方策・方向性を適切に組み合わせることにより、実効的な事業再生の実現をはかるという観点から、その複合的な連携のあり方についての最善解を探求する方向に、検討の方向性をシフトすることとした。 以上のような急激かつ予測不可能な立法をめぐる動きについては本研究課題について構想する段階においては想定していなかったことから、これに伴う研究計画の変更により、進行に遅れが生じることとなっている。 また、アメリカ倒産法との比較研究についても、令和5年3月まで、コロナウィルス感染症の影響により資料収集/情報交換のための米国出張ができなかったため、基礎的な文献の分析作業を中心とせざるを得ず、こうした要因も研究全体に遅れを生じさせる一因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】において記載したとおり、本研究課題について申請をした当時においては想定し得なかった立法に関する動きに対応するため、研究の進行状況に遅れが生じ、研究期間を1年間延長することとし、これについては承認をいただいたところである。 そこで、令和6年度においては、私的整理の多数決化を内容とするいわゆる「私的整理円滑化法案」をめぐる立法動向について注視しつつ、そこで提案されている具体的方策について立法を念頭に検討を進めるとともに、私見に基づく「合流型」の連携を含めた複数の事業再生のための方策を組み合わせた複合的な連携のあり方について検討を行うことを予定してる。 また、これと並行して、私的整理による法的手続の代替により生じ得る法的手続の形骸化・法的規制の潜脱という問題について、アメリカ倒産法を参照することにより、問題点を整理するとともに、私的整理により代替可能な範囲とその理論的根拠、および弊害の回避策について検討を進めることを予定している。そのため、春期休業期間(2025年2月または3月を予定)を利用して、米国への出張を行い、資料の補充・確認を行うとともに、米国の研究者や実務家との意見交換を行うことを予定している。
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