Project/Area Number |
21K01230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | SBI Graduate School |
Principal Investigator |
小林 秀之 SBI大学院大学, SBI大学院大学 経営管理研究科, 教授 (30107495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 明久 新潟産業大学, 経済学部, 教授 (10552474)
村上 正子 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10312787)
齋藤 善人 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (60362092)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | アジア / 倒産法制 / 事業再生 / 清算撤退 / 中小企業 / ビジネス文化 / 倒産制度 / 国際比較 / 海外事業の撤退 / 事業再建 / 定量分析 |
Outline of Research at the Start |
我国中小企業のアジア諸国への展開を支援するにあたっては、同諸国における倒産法制について、実務的で分かり易い形で情報を提供することが重要な課題となっている。 本研究は、我々が実施した先行研究「解雇法制の国際比較」において構築した研究手法を応用し、中国、ベトナムなどアジア7ヶ国の最新の倒産法制について、日本と比較した国毎の特徴の抽出を行うものである。さらに、修正版世銀倒産法制指数等の定量指標を考案することにより、国毎の特徴を分かり易く示すとともに、日本との差異を生ぜしめている背景要因、すなわち、ビジネス文化、経済発展段階、宗教などの社会経済的な背景要因について、学際的・実証的観点から解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、倒産法制に関する国際比較研究の現状を踏まえて、「中小企業経営者」という新たな視点を設定し、統一的俯瞰的な観点から各国の倒産法制の最新状況について、日本と比較しつつ分かり易く整理するとともに、アジア諸国との異同の背景となっている「社会経済的要因」を、統計データ等の解析を基にした実証的手法により明らかにすることを目的としている。当初は2023年度末までに研究を完了する予定であったが、コロナ禍による海外調査の遅延等により期限を2024年度末まで1年間延長の已むなきに至った。 2023年度の研究実績は、遅延していた海外訪問調査の一部を実施したほか(ベトナム、シンガポールなど)、2022年度までの文献調査等の成果を基に、アジア7ヶ国の倒産法制の特徴の整理を実施した。その際、世界銀行の「Doing Business」のフレームワークを活用するとともに、アジアに進出した中小企業の「現地における事業再生」、「現地事業の清算撤退」の2つの観点から整理する作業を実施した。同作業から得られた主要な研究成果は、次の2点である。 ① 業績不振により支払い不能等に陥った企業の再生手続きにおいて、タイ、インドネシア、韓国の3ヶ国は旧経営者が主導し経営を継続する形で事業を再生する方式に重点を置いている。他方、シンガポール、マレーシア、ベトナム、中国の4ヶ国は経営者の交代を前提に第3者への事業売却等による早期の債権回収を重視した法規制・運用を行っている点で大きく異なることが判明した。 ③ さらに、後者のうちベトナムと中国においては、事業の閉鎖等をも想定した資産売却方式が一般的であるものと推定される結果となった。これは、両国においては、事業再生に関する実務手続きの整備が不十分であり、事業再生に要する期間・コストが不明確であることが大きな要因となっているものと推定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画としては、2021年度から調査を開始し2023年度末までの3年間で作業を完了することを想定していた。しかしながら、本研究の重要部分をなす海外訪問調査については、コロナ禍の長期化により延期せざるを得ず、2023年度においてタイ、シンガポールなどの訪問調査を実施したものの、コロナ禍後における受入国側との連絡調整や受入意向の確認等に手間取ることとなり、研究スケジュールの遅れを完全に回復するまでには至らなかった。 このため、研究期間を1年延長し、2024年度末までとするの已むなきに至った。なお、2023年度の海外訪問調査は限定的なものとなったが、その過程において日系法律事務所である「One Asia Lawyers」(アジア商事法務を専門としアジア主要国に拠点を有する) 、およびアジア法整備支援に実績を有する「名古屋大学法政国際教育協力研究センターアジア資料室」との連携協力体制を強化すことができたことから、2024年度における海外訪問調査については円滑な実行が期待できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度において一部未実施となった海外訪問調査を早急に実施し、これまでの遅れを回復すべく努力するとともに、下記の3点に注力し研究計画の完遂を図る。 ①2023年までの作業によって明らかとなった諸点、および2024年度に実施する海外訪問調査の結果を踏まえて、アジア7ヶ国における倒産法制の特徴を、アジアに進出し不振に陥った日系中小企業が「現地で事業再構築を行う場合」、逆に「現地事業を清算し撤退する場合の2つの事例を想定し、関連する法手続きの特徴を整理する。具体的には、債務者(経営者)による倒産手続き申請の可否、申請後再生計画認可に至るまでの経営者主導による経営継続の可否、債務者主導による再生計画の策定実行の可否、清算時における残債務と従業員の処遇に関する法規定などを中心に整理作業を行う。 ②上記の結果に基づいて、前述の「事業再構築」「事業閉鎖撤退」の具体的な仮想事例を2事例設定し、当該国の倒産法制度においてどのような法手続き上の課題が生じるか、また実務的な取扱いを受けることになるか等について、主要7ヶ国の比較整理作業を行う。この様な作業を通じて、法制度に疎い中小企業事業者においても主要国毎の倒産法制度の特徴を理解把握し易い資料を提供する。 ③上記の結果を踏まえて、アジア7ヶ国の倒産法制の特徴(例 経営者主導の事業再生が可能な法制度か否か、事業閉鎖撤退措置が容易な法制度であるか否かなど)が、各国の社会経済状況(例 ビジネス文化、経済体制、宗教等)とどの様に関係しているかについて、G.Hofstedeらによるビジネス文の世界的定量データ等を活用しつつ分析作業を実施する。その際、アジアにおけるビジネス文化の特徴を把握するため、アジアにおいて広く認知普及している日本アニメのアジアにおける普及プロセス・要因についても参考情報として活用する(2023年度において先行研究を実施済み)。
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