Project/Area Number |
21K01237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
藤林 大地 西南学院大学, 法学部, 教授 (80631902)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 不実開示 / 民事責任 / リスク情報 / 非財務情報 / 相当な注意 / 虚偽記載 / 有価証券報告書 / 有価証券 / 発行者 / 情報開示 / 金融商品取引法 / 事業等のリスク |
Outline of Research at the Start |
金融商品取引法は、有価証券報告書等の『事業等のリスク』の項目において「主要なリスク」の記載を求めるとともに、リスクの記載を怠った場合には発行会社や取締役は民事責任を負う旨を定めている。しかし、具体的にどのようなリスクの記載が求められるのかは明らかではなく、またリスクを開示させることや民事責任の対象とすることの合理性という基礎的な問題はこれまで検討されてこなかった。 そこで、本研究では、『事業等のリスク』の項目において具体的にどのようなリスクが記載されるべきか、リスクの記載を怠った場合のエンフォースメントはどうあるべきかという問題について、解釈論あるいは立法論を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き、リスク情報の開示に関連する問題として、発行者の故意・過失の意義および役員の相当な注意の意義について検討を行った。 第一に、金融商品取引法21条の2の責任は平成26年改正により過失責任とされたため、有価証券報告書等の虚偽記載等に係る発行者の故意・過失の意義が問題となる。この問題は、法人の不法行為責任に係る問題であるため、民法709条・715条および会社法350条に関する議論について調査・検討を行った。具体的には、法人の不法行為責任否定論や法人の「行為」の意義、組織過失論について検討を行った。そして、組織過失論の意義および同議論に基づく場合の帰結について検討する論文を執筆した。 第二に、有価証券報告書の虚偽記載等について、金融商品取引法24条の4は取締役の責任を過失責任とした上で立証責任を転換しているため(「相当な注意を用いた」ことを免責事由としている)、「相当な注意」の意義の解釈の在り方について検討を行った。そして、その具体的な意義を論じるとともに、従来の裁判例の問題点を指摘する論文を執筆した。 第三に、判例研究として、東京地判令和5年3月28日資料版商事法務473号87頁〔東芝事件〕、東京地判令和5年12月6日資料版商事法務478号170頁〔東京機械製作所〕、静岡地浜松支判平成30年8月16日D1-Law28282695〔ACリアルエステイト事件〕および東京高判平成29年10月19日D1-Law28271664〔セラーテムテクノロジー事件〕について研究を行った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リスク情報の開示制度について検討を行うためには、関連する問題である発行者や役員の責任の検討も必要となるところ、本年度もその検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
開示書類において記載事項として法定されている事項を記載しなかった場合に民事責任等が生じるかという問題について、米国連邦最高裁はMacquarie Infrastructure Corporation v. Moab Partners, L. P., 2024 WL 1588706 (U.S. Apr. 12, 2024)を示した。同問題は、リスク情報の開示に密接に関わる問題であり、同判決の意義を検討することにより、本研究を推進させることを計画している。
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