Project/Area Number |
21K01252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 幸代 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (00368408)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 従業員利益 / 労働者利益 / 取締役 / 経営参加 / コーポレートガバナンス / 協働 / 従業員代表 / 企業統治 / 従業員 / ドイツ / コーポレート・ガバナンス / 経営関与 / 取締役会 / 会社法 |
Outline of Research at the Start |
従業員利益に資すると同時に企業にとっても有用な従業員関与の仕組みは存在しうるのか、そしてその実現を支えるのに適した規制枠組みのあり方はどのようなものなのか。本研究は、比較法制研究の手法を通じてその答えを解明しようとするものである。 比較法制の調査対象として予定しているのは、従業員による経営参加システムを長年擁してきたドイツ、および近年従業員の経営参加システムの導入を試みた英国である。研究計画上必要となる国外調査を円滑に遂行するため、2022年度にドイツを主要拠点とする1年間の在外研究の実施を予定している。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は前年度のサバティカル期間中に獲得した資料を基に、ドイツの調査を継続した。調査対象となるテーマを構成する制度は従業員参加型の共同経営決定システムであるが、現地で得た情報源における言及の傾向から、当該システムの解明にはArbeitsdirektorの実状を把握することが肝要と考えられるため、現地で得た資料を中心に帰国後も随時情報入手を図りつつ精査活動を継続中である。さらに、よりグローバルな見地からは、日本におけるコーポレートガバナンス・コード策定にあたり参考にされたOECDのコーポレートガバナンス原則において従業員参加型経営の有益性が明確に示されている(VI.D.3)ことに比べて、日本版コードにおいてはその言及はきわめて限定的であり(原則2)、同原則の適用にかかる対応について東証が示す指針の傾向からも、日本においては、一応はコード上でその有意性をわずかに示すものの、それだけでは実務上形式的な体裁を整えることにとどまることが懸念される。さらに、わが国のハード・ローの状況、とりわけ会社法に目を向けても、従業員(使用人、労働者)はほぼ不在であり、わずかに制度上の問題として表出するとしても従業員持株制度や法人株主の従業員による議決権代理行使、組織再編時の従業員の取り扱いなど極めて限られた(従業員の経営参加の有益性には直接つながりにくい)ケースに限定される。唯一、使用人兼務取締役が経営参加に関連する可能性を残すが、近年における社外役員重視の傾向と相容れない。すなわち独立性の観点から社外役員を重んじる現状傾向は従業員参加型経営の有用性を肯定する上で大きな障壁となることが予想される。したがって、本課題では、同要請が両立しうるかの可能性も含めて慎重な検討が必要となることが改めて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に予定していた現地での研究期間が本務校の都合により研究計画よりも大幅に短縮されたこと、ならびに短縮された滞在期間を含めて当初の研究計画期間が国内外いずれにおいてもコロナウイルスによる活動自粛期間にあたり、現地における人的アプローチが困難であったことが主な要因である(サバティカル滞在期間の短縮に至る経緯は昨年度報告書の「進捗状況」中の「理由」欄に記載したとおりである)。
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Strategy for Future Research Activity |
在外研究期間の短縮に起因し、これを補うことを目的に本課題の研究期間を2024年度まで延長した。今年度はこれまで入手した情報を精査して研究成果の取りまとめを行う。
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