Project/Area Number |
21K01262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
上田 真二 関西大学, 法学部, 教授 (00359770)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 金融商品取引法 / 不公正取引 / 偽計 / インサイダー取引 / ディスクロージャー規制 / 金融商品取引業者 / 私募 / 不公正取引規制 / 相場操縦 / Market Abuse Regulation |
Outline of Research at the Start |
本研究は、金融商品取引法における不公正取引規制の関係と構造を明らかにするものである。 具体的には、まず、(a)判例や審判事例、証券取引等監視委員会が公表する年次資料を参考に、不公正取引規制の適用の実態を調査し、さらには近時の立法動向も併せて、わが国における不公正取引規制の現状を明らかにする。次に、(b)具体的に不公正取引を規制する個別の規定(インサイダー取引・偽計・相場操縦など)と一般的な詐欺禁止規定との関係を検討する。最後に、これらの関係を整理することで、(c)不公正取引規制の関係と構造を明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金融商品取引法における不公正取引規制の関係と構造を明らかにするものである。具体的には、金融商品取引法157条以下における不公正取引規制の適用の実態を調査し、一般的な詐欺禁止規定(同法157条)と同条以下の各不公正取引規制との関係を検討することで、一般的な詐欺禁止規定の意義を考察することを目的とする。 今年度は、これまでに収集した文献・資料の分析、さらには実態調査を進めながら、2件の研究報告を行い、1件の研究成果を公表した。ほかに、研究成果の公表に至っていないものの、金融商品取引法の「偽計」に関して、裁判例および審判例、さらには、証券取引等監視委員会が公表している各種の情報を踏まえて分析を続けた。 まず、研究報告について、2023年5月に早稲田大学商法研究会において、金沢地裁令和4年5月26日判決について研究報告を行った。また、2023年11月には京都大学商法研究会において、「インサイダー取引における「重要事実の伝達」の有無」と題する研究報告を行った。後者の研究報告は、いわゆる増資インサイダー取引の事例を素材に、金融商品取引法166条3項の「重要事実の伝達」の立証(の程度)を扱ったものである。 次に、研究成果について、先の早稲田大学商法研究会における報告を踏まえ、2023年10月に「償還不能となったレセプト債を販売した証券会社の購入者に対する損害賠償責任」と題する判例研究を金融・商事判例1676号2頁に公表した。これは、元引受金融商品取引業者の引受審査義務(調査義務)について研究したもので、特に少人数私募(と呼ばれる状況)においても一定の場合には、元引受金融商品取引業者に引受審査義務があることを明らかにした研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、3年の期間を設定しているが、おおむね1年半ずつ前半と後半に分けて、研究を進めることを想定している。前半は、文献・資料の調査および収集を中心に行い、その分析も進めることとしていた。そして、金融商品取引法における不公正取引規制の個別具体的な規定を対象に、それらの規定が解釈や立法により独自の進化を遂げていることを示すことを試みる期間としていた。これについては、おおむね順調に進んだといえる。 しかし、後半の研究、すなわち、金融商品取引法157条が一般規定(あるいは包括的規定)と理解されているが、同条にそのような機能や役割は見られず、極めて限定的な規定であること、現行の金融商品取引法における不公正取引規制が(実質的には一般的規定を欠き)個別具体的な規制により多元的に構成されているという構造を明らかにするという研究を予定通りに進めることができていない。 一つは、先に示した研究会における報告の準備に時間を割くことになったことが挙げられる。報告原稿の作成等に想定以上の時間を要し、現行の不公正取引規制の分析・把握が後回しになってしまった。 もう一つは、個別の不公正取引規制(特に相場操縦規制)の分析に時間を要していることが挙げられる。相場操縦は、これまでの裁判例や学説における議論も多く、文献等も豊富にあることから、事前に想定した以上に分析に時間を要している。 最後に、EU法の文献・資料の収集に手間取っていることも本研究課題の進捗が遅れている理由に挙げることができる。EUの不公正取引規制を扱った文献が思うように収集できていないことで、その分析に時間が掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の進捗状況については、(先にも述べた通り)やや遅れていると判断している。しかし、次年度への研究継続が認められたこともあり、研究計画自体は大きく変更することなく、当初の予定通り進めたい。すなわち、文献・資料を収集し、それらの分析を経て、論文等として公表するという形は変えずに行う。ただし、文献・資料の収集は(EU法分野を残して)ほぼ終えており、今後は収集した文献等の分析についてスピードをあげて臨む。 このうち、EU法の文献・資料の収集については特に重点的に行い、速やかに分析に移る。そのうえで、EU法における一般的な詐欺禁止規定について調査を行い、その実態を明らかにしたい。 現行の不公正取引規制の分析・把握については、金融商品取引法158条の「偽計」の意義と機能に関する論文は執筆中であるから、これを早期に公表したい。これについては、法規制の実際の運用を確認しつつ、不公正取引規制の研究を更に深化させるものとして取り組みたい。 また、研究が遅れている、金融商品取引法157条の機能や役割に関する研究については、既に文献・資料の収集は終えているので、上記のEU法に関する研究と並行して、速やかに分析を行い論文の作成を進めたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)