Project/Area Number |
21K01274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小川 明子 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (90530593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末宗 達行 金城学院大学, 生活環境学部, 准教授 (80822254)
高林 龍 早稲田大学, 法学学術院, 名誉教授 (90277765)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 追及権 / 美術の著作物 / 著作権法制度 / WIPO / 追及権の正当化根拠 / デザイン / 著作権 / 譲渡権 |
Outline of Research at the Start |
追及権に関し、以下2点を中心として、検討を行う。 1.日本の著作権法上の美術の著作物に対する制限/例外規定により、美術の著作者が権利行使可能な範囲は、他の種類の著作物に対して限定的ではないのか。その意味合いにおいて、追及権を導入することで、如何なる効果が期待できるのか。あるいは、問題点はあるのか。2.著作権法第26条の2第1項には譲渡権が規定される。同第2項では、権利者等により公衆に譲渡された原作品又は複製物は、消尽すると規定される。追及権を行使するとき、譲渡権及びその消尽の関係性は影響を与えるか。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「著作権法制度と追及権の整合性」について検討することを目的としている。初年度(2021年)に土台固め、2022年度は「美術をめぐる著作権の保護」について検討が行われた。 3年目となる2023年度においては、まず、末宗達行研究分担者が、著作権法制度研究の一環として、「商標の剥離抹消行為の規制をめぐる一考察ーイギリス法を手掛かりとして」を執筆した。この論考は、イギリス法においては、逆パッシングオフが著作者の権利を保護する一手段として用いられる場面があることから、逆パッシングオフが対象とする商標の剥離抹消行為に関する状況を整理し、日本法との比較検討を行ったものである。 小川明子研究代表者においては、2023年度内に2回の追及権セミナーを開催するに至った。2023年4月に開催されたセミナーは、追及権の現状について研究代表者が単独で講演した。2023年11月のセミナーでは、美術家を招聘し、追及権について議論した。第二回目のセミナーには、日本芸術院会員(日本画)福王寺一彦氏、同会員(工芸)であり元文化庁長官の宮田亮平氏にご登壇いただき、美術と継承といった観点からご講演を賜った。山口大学名誉教授である菊屋吉生氏には美術の解説を頂いた。そして、研究代表者である小川明子が芸術家と追及権について総括した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究期間内に、著作権法制度の検討を継続すると同時に、追及権に係るセミナーを開催している。(2023年4月25日、山口大学知的財産センター主催 第2回アートと知財セミナー「追及権の現状」)(2023年11月14日、山口大学知的財産センター主催 第5回アートと知財セミナー「芸術家と追及権」)特に、第2回目のセミナーにおいては、自身が著名な美術家であると同時に、父あるいは祖父もまた美術家であり、その遺族としての著作物に対する考え方についても議論することができた。美術という特殊分野における著作者保護を目的とした追及権制度理解の上では、非常に有益なセミナーである。 2024年度にも、本研究の総括としての追及権セミナーを企画している。加えて、本年度中に、日本美術家連盟および大阪工業大学で、それぞれ追及権セミナーに登壇するよう招聘依頼を受けており、当初予定したよりも多くのセミナーの開催により、当初の計画以上の進展であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ニュージーランドでは、2023年8月30日にResale Right for Visual Artists Act 2023が制定され、2024年12月1日をもって、追及権制度が施行される。現時点で最も新しく法制度が整った国として、当面はニュージーランドの法制度を研究し、その他の国との比較を行う。そのうえで、我が国の導入を視野にいれた追及権制度と著作権の整合性について検討を行いたい。
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