AIの活用時代における専門家責任の再構築に関する実態的・法理論的研究
Project/Area Number |
21K01287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
王 冷然 南山大学, 法学部, 教授 (70546639)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 専門家責任 / 金融取引 / 医療契約 / 情報提供義務 / 適合性原則 / 善管注意義務 / AIの活用 / 金融サービス / 役務提供 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、医療や金融などの領域においてAIの活用による影響を視野に取り入れて、役務提供者の債務内容の形成および責任の認定について、比較法的観点を取り入れつつ、総合的に検討することにより、①AIの活用は消費者の意思決定や役務提供者の債務内容にいかなる影響を与えうるかを明らかにし、同時に、②役務提供者の「専門性」に着目し、AIを利用する場合における責任認定の判断構造を分析することにより、最終的に、③AIを利用する場合における専門家たる役務提供者の責任論を再構築することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
医療分野において、医師等の医療従事者の専門的判断を補助する場合だけでなく、医師等の行う手術・手技等を代替ないし補助する場合もAIが活用されている。現段階では、前者の診断支援AIの場合も後者の手術補助AIの場合も、AIが専門家である医師等の判断や行動を完全に代替するのではなく、あくまでも医師等の判断や行動を支援したり補助したりする役割を果たすだけであり、医師が判断や行動の主体であることは変わりがない。そうすると、法的には医師が責任の主体になり、客観的に正しいAIの判断に従わなかった場合や客観的に誤ったAIの判断に従った場合は、不法行為法上の過失の有無について、従来の医療水準をもって判断すべきであるという見解が存在する(たとえば、松尾剛行「健康医療分野におけるAIの民刑事責任に関する検討―AI画像診断(支援)システムを中心に―」Law and practice13号(2019年)151頁以下、米村滋人「AI機器使用の不法行為における過失判断―医療・介護分野での責任判断を契機に」法時94巻9号(2022年)48頁以下など)。 他方、医療水準に関する判例は、すべてAIが活用される前のものであり、AIの利用が医療水準の判断にどのように影響を与えるかに関する議論が見当たらず、さらなる研究が必要である。 また、AIを物として考える場合に、製造物責任をどのように認定するかという問題が生じる。EUでは、欧州委員会により公表されたAI責任指令案と製造物責任指令の改正案において、AIの利用に関する民事責任と製造物責任を判断するにあたって、因果関係や欠陥の推定ルールが提示された。EUで示された考え方が日本の不法行為法と製造物責任法に適用することができるかどうかは、さらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染したあと、後遺症が長引くこともあり、体調がなかなか回復ができない中、講義や大学行政などの仕事を務めながら、研究する気力を保つのは困難であった。 医事法学会や金融法学会に参加するなどをして、日本での議論状況を把握することができたが、実態調査や外国に渡航して諸外国の状況を確認する作業を行うことができなかった。 今年度からは、後れを取り戻すよう研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、医師等の専門家は診断支援AIを利用する場合に、従来の医療水準に基づき過失の有無を判断することの是非およびAIの利用が医療水準の認定にどのような影響を与えるかについて、医療現場の実態や諸外国の議論状況を調査して研究を進めていく。 次に、診断支援AIを利用する場合も診断支援AIを利用する場合も同様に生じる問題は、患者とのインフォームドコンセントをどのように行われるべきか、AIの利用に関する患者側の同意は法的にいかなる意味を有するかについて、実態調査を含めて研究を深めていく。専門家の情報提供や説明義務に関しては、医師のみならず、金融業者も同様に要求されるものであり、金融業者が投資サービスを提供する場合に、AIの利用に関する顧客側の同意をどのように評価するかも研究の対象となる。 また、仮に製造物責任を追及することができた場合、開発にかかわる業者間に免責の特約が締結された場合に、それは第三者である被害者にいかなる効力を有するかも問題となる。これは約款や契約の対第三者効とも関係する問題であり、より広い視野で検討する必要がある。そのため、約款論や契約の対第三者効に関する国内外の議論状況を精査する作業を行う。 以上の作業で得られた成果について、積極的に所属機関内・外の研究会に出席し、そこでの報告を通して、他の研究者と意見を交換し、それによって自らの研究状況の把握・整理を行う。 最後に、以上のような研究活動によって得られた知見をもとに、最終的に日本法に対する提言となりうる点をまとめ、学術雑誌への投稿を予定している。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)