Project/Area Number |
21K01314
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
|
Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
佐藤 学 沖縄国際大学, 法学部, 教授 (80352475)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 晃樹 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (20340416)
金井 利之 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40214423)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 不人気国策 / 人口減少自治体 / 地方財政 / 民意 / 住民運動 / 高レベル放射性廃棄物処分場 / 北海道寿都町 / 北海道神恵内村 / 国策 / 地域産業 |
Outline of Research at the Start |
文献調査、理論研究会の実施により、本研究が取り組む課題の構造を解明する。その上で、北海道寿都町、神恵内村への現地調査を実施し、行政、議会、住民に対する聞き取り調査、資料調査を行い、人口減少、産業衰退に苦しむ自治体が不人気国策を受け入れる政治的構造を解明する。本政策に限らず、今後、同様の政策措置が採られていくことが容易に想像される中、政策の有効性、公平性の観点から、国民的な理解に資することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
前2年度にはCOVID-19のために不可能であった、北海道寿都町と神恵内村への調査出張を2回実施した。 第1回目の2023年8月には、神恵内村高橋昌幸村長への聴き取り調査を行い、高レベル放射性廃棄物最終処分場文献調査受け入れに応募した背景、この事業での交付金の使途と現状等を伺った。最長10万年の保管が必要とされる処分場を受け入れる前提で受領した約15億円による、地場産業である漁業の振興のためのHACCP適合漁港施設建設は、超長期的な課題の引き受けと交換に現在の課題解決を目指すという、一定の合理性を持つことを確認した。また、隣接自治体に原子力発電が操業してきたため、自村を原発の受益者とし、その責任を負うという考えを強調されていた。政策の正当化として、既存原発からの受益の責任を負うという論理が使われる可能性を示唆しており、2024年4月に町議会が文献調査受け入れ請願を受託した佐賀県玄海町の誘致団体も依拠した論理であり、高レベル廃棄物最終処分場問題受け入れの正当化に、新たな層が加わったことの確認と考えられる。 第2回目の2024年3月には、寿都町への調査出張を行った。寿都町役場が、取材拒否方針であるため、文献調査受け入れへの反対活動を行っている町民の会メンバーや、町議会議員への聴き取り調査を実施した。本研究の前提は、国が過疎地自治体の疲弊・困窮化を待ち、現在、追い詰められた自治体・コミュニティが受け入れせざるをえない中で、この2自治体が受け入れを決めたとの仮説であった。しかし、寿都町の住民による活動は、この前提を大きく覆し、危険な施設の受け入れ無しで地元の将来に責任を負っていく人々の存在を確認できた。全国にこのような住民がいるから、受け入れ自治体が続発しないのである。また、2回の調査で、地質学専門化北海道教育大学・岡村聡名誉教授から科学面での貴重な教唆を頂いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021,22年度に、沖縄県から県外への出張がCOVID-19感染症規制のために不可能であり、計画していた北海道寿都町と神恵内村での調査が実施出来なかった。そのために、文献資料収集しか出来ず、大きく遅れることとなった。 諸規制が解除された2023年度には、北海道出張に2回行くことができ、神恵内村では、村長聴き取りと、地元実業家への聴き取りが実施できた。また寿都町では、行政が取材受け入れ拒否の方針であり、町役場への聴き取りが出来なかったが、伝手を頼って連絡を取った「子どもたちに核ゴミのない寿都町を!町民の会」の4人のメンバーと、同会に籍を置く寿都町議会議員から詳細な聴き取りを実施できた。今後、寿都町行政への調査を試み、また、道内に実験施設を持つ幌延町への調査を試みる計画であり、徐々に遅れを回復できるものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
寿都町、神恵内村での調査を重ね、また、高レベル廃棄物最終処分場実験施設が存在する幌延町でも調査を実施する計画である。2回の現地調査で知ることとなった、この分野での先駆的業績を挙げている在道ジャーナリストへの聴き取り調査も実施する。 時間的に可能であれば、現時点(2024年5月)に進行中の佐賀県玄海町における文献調査受け入れも調査に行くことを計画する。 政治的に困難な問題であることから、聴き取り調査が困難な場面があることが予想されるが、多面的なアプローチで研究を進める。 最終的な論文執筆に向けて、調査研究を進めていきたい。
|