Project/Area Number |
21K01387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若井 克俊 京都大学, 経済学研究科, 教授 (80455708)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 経済理論 / ゲーム理論 / 意思決定論 / 意志決定論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、カルテル形成の研究等に用いられる無限期間繰り返しゲームにおいて、その均衡戦略として応用頻度の高い「ナッシュ・リバージョン戦略」の有効性に関して考察する。特に、利得系列の評価に用いている「割引効用モデル」の仮定を再検証し、近年研究の進む「行動学的割引因子モデル」に基づいた「堅牢性(Robustness)」という概念を導出・応用することで、「ナッシュ・リバージョン戦略」の行動学的な構造と応用上の有用性について分析を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カルテル等の分析に用いられる無限期間繰り返しゲームにおける「ナッシュ・リバージョン戦略」に関し、その堅牢性(Robustness)を、近年研究が進む「行動学的割引因子モデル」を用いて分析することを目的とする。
昨年度に引き続き、令和5年度は、「割引効用モデル」に代えて用いる「性質の異なる2つの割引因子を持つモデル」において、それぞれの割引因子と「最強の抑止力を持つ『最適罰則』」との関連性を一般化することを試みるとともに、「ナッシュ・リバージョン戦略」の堅牢性を分析した。具体的には、本研究にて採用する行動学的な割引因子モデルにおいては、将来の利得効用の平均値と現在の利得効用との差を求め、その差が「正(Gain)」のときは大きく割り引き、「負(Loss)」のときは少なく割り引く形式(Gain/loss Asymmetry)を用いている。特に、正の利得差を割り引く因子をゼロに、負の利得差を割り引く因子を1に収束させる場合には利得系列の分散を避ける傾向が強まることから「Gain/loss Robust」と呼び、最適罰則がどのように収束するかを分析した。
分析の結果、「Gain/loss Robust」な最適罰則がナッシュ・リバージョン戦略に収束することを示した。つまり、プレイヤーが利得系列の分散を避ける傾向が強まると、ナッシュ・リバージョン戦略がより好ましい罰則経路になることを意味する。この結果は、「対称な均衡戦略」においては一般的に成立し、「非対称的な均衡戦略」においても、経済合理性のある十分条件を満たす場合に成立することも確認した。一方で、大学本部理事補や附属図書館機構副機構長としての職務に従事したことから、研究時間の確保が困難な場合が多く、本年度の成果は投稿段階までは至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)当初検討していた「対称な均衡戦略」に加えて「非対称的な均衡戦略」に関しても、「行動学的割引因子モデル」を用いた「無限期間繰り返しゲームにおける『ナッシュ・リバージョン戦略』の堅牢性(Robustness)の分析」が進展している。
(2)2020年10月より大学本部の理事補を務めていること、2022年度より附属図書館機構副機構長も務めていることなど、組織運営業務にかなりの時間を費やさざるを得ず、研究の進展が予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)令和5年度の分析結果をまとめ、査読付き学術誌への投稿を目指す。
(2)「対称な均衡戦略」の持つ性質を一般化した「非対称な均衡戦略」を定義し、分析の一般化を試みる。
(3)「利得分散を回避する傾向」に不確実性がある個人の意思決定とその均衡集合を特定化し、本研究の均衡選択基準を精緻化する。
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