Project/Area Number |
21K01392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
篠原 隆介 法政大学, 経済学部, 教授 (40402094)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 公共財 / 自発的参加 / 戦略的委任 / 国際環境協定 / (再)交渉 / コアリション・プルーフ・ナッシュ均衡 / ナッシュ・イン・ナッシュ交渉 / 交渉 / 再交渉 / ナッシュ交渉 / 国際河川管理 / フリーライダー問題 / 国際公共財 / 戦略的不参加 / 戦略的委任問題 / 戦略的不参加問題 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、温室効果ガスの削減等、複数の国々に便益をもたらす国際公共財の供給を、関連する国家間の交渉により実現する状況を分析する。公共財供給に関する国際交渉では、各国は「交渉に参加するか否か」および「交渉代表者を誰にするのか」の二つの意思決定に関して、自国が可能な限り有利な立場になるよう、戦略的に行動することが、先行研究により指摘されている。そのため、本研究では、まず、これら戦略的行動が、どのように相互作用するのか、そして、交渉の帰結にどのような影響を与えるのかについて解明する。その上で、戦略的行動が引き起こす問題を解決するような交渉ルールの設計を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、これまでの研究成果論文の修正と拡張を行いながら、国際公共財供給における戦略的委任と参加行動について、新たにモデルを構築し分析を行った。 ①2021年度の研究分析を大幅に拡張し、新たに論文“Coalition-Proof Stability of International Environmental Agreements”を公開した。本論文では、国際環境協定への自発的参加ゲームにおいて、先行研究でしばしば考察されてきた「最適な経済余剰分配ルール」の、各国の結託行動に対する頑健性について検証した。まず、各国の公共財に対する選好が似通った場合では、このルールは結託行動に対して頑健である一方で、各国の公共財に対する選好が大きく異なる場合では、その頑健性は失われ、ゲームに均衡が存在せず、各国が参加動機を持つことに失敗する可能性を指摘した。次に、代替の経済余剰分配ルールとして「按分費用分配ルール」を提示し、このルールの下では、均衡の存在が一般的に保証されることを証明した。結託行動に対して耐性を持つ尤もらしい経済余剰分配ルールの存在は、これまで示されておらず、本研究成果は、これに貢献するものになる。 ②国際環境協定に設定される「最低参加制約」と再交渉の関係について、新たな結果を得た。関連研究によれば、国際環境協定にこの制約を設定することによって、公共財へのただ乗り問題が緩和され、多くの国々の自発的参加を実現することができる。しかしながら、本研究では、最低参加制約が満たされない場合に各国が再交渉を行い得る場合を分析し、最低参加制約を設定したとしても、国際環境協定への参加国数は増加しないことを示した。この結果は、関連研究の結果とは対照的であり、最低参加制約の有効性を洞察するものである。以上の研究成果は、2022年度の研究成果論文を改訂する形で、新たにSSRNに公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度成果として報告した論文“Voluntary Participation in a Negotiation on Providing Public Goods and Renegotiation Opportunities”は、既に英文査読誌からminor revisionでの改訂要求を受けており、掲載まであと一歩のところまで来ている。論文 “Coalition-Proof Stability of International Environmental Agreements”は、既に英文査読誌に投稿を済ませている。 戦略的委任行動と戦略的不参加行動の相互作用に関する研究に関しては、2023年度中に、モデルを構築し試算を終えることができた。今後は、試算で得られた結果に基づいて、分析の拡張や一般化を行う予定である。 以上の理由により、研究の進捗状況が、おおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
学術誌に投稿済みの論文に関しては、改訂の要求があれば、論文の修正を行う。 戦略的委任行動と戦略的不参加行動の相互作用に関する研究については、2023年度に得られた試算結果にもとづいて、研究を進める。得られた研究成果は、学会・研究会において積極的に発信するとともに、学術誌への投稿も行う。研究の推進上、関連する研究者とのコミュニケーションが重要となるため、面談の機会を設けて、意見交換を行いたい。
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