経済学はどのように海を渡ったか―幻のフィラデルフィア版『経済学原理』
Project/Area Number |
21K01410
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古谷 豊 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00374885)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | エディンバラ大学医学部 / メディカル・スクール / ガーデン / モンロー / リンネ / ロイヤル・ソサエティ / トマス・リード / スコットランド啓蒙 / ステュアート / アメリカ / 『経済学原理』 / 重商主義 / 植民地 |
Outline of Research at the Start |
北米における経済思想の源流を,とくにステュアートの『原理』がどのように受容され影響を与えたかという点に焦点を当てて解明する。とりわけ(1)1771年に刊行されたとされるフィラデルフィア版『原理』について,その刊行に至る経緯と,現在はどこに残っているのか,現存していないとするとそれはなぜなのか,を明らかにし,(2)ダブリン版『原理』予約購読者36名の調査を通して,北米社会における『原理』の受容の地域的広がり・社会層的広がり・社会が抱える経済的課題とのつながり等々を浮き彫りにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究の射程が予想外の広がりを見せた。昨年度に引き続いて、ダブリン版のステュアート『原理』が、アメリカ植民地とくにカロライナで広く読まれた背景を、1.サイエンスコミュニティ、2.スコットランドコミュニティ、3.ミリタリーコミュニティという三つの方面から迫る方針で研究を進めた。 その過程でエディンバラ大学医学部が、サイエンスとスコットランドの両コミュニティをつなぐ重要なハブになっていることが浮上した。つながりの要点は三つあり、第一に、当時のサイエンスコミュニティを構成する知識人は法学や神学とともに医学を修めた者が多くいた。アメリカ植民地の著名な植物学者A.ガーデン(リンネの協力者)もその一人だった。第二に、エディンバラ大学の医学部は当時、ヨーロッパ全体のなかでも高い名声を勝ち得ていて、ウィーン大学、パリ大学と並ぶ医学の中心地となっていた。カロライナ植民地での指導層の子弟にとってもエディンバラ大学医学部は有力な留学先だった。加えて、当時カロライナ植民地の医者は徒弟をとりはじめた。エディンバラ大学等に留学する準備期間を兼ねて数年間徒弟として勤めるわけである。A.ガーデンは徒弟先として人気で、多くの子弟が、その後エディンバラ大学で学位を取得する際の学位論文をA.ガーデンに捧げている。第四はフィロソフィカル・ソサイエティ・オブ・エディンバラのつながりで、1761年にA.ガーデンは(アメリカ植民地の人間であるにもかかわらず)会員に認められた。このソサイエティはA.モンロー(エディンバラ大学初代解剖学教授、医学部設立の中心人物)が立ち上げ、モンローの息子は解剖学教授のポストを継いだが、A.ガーデンの友人でもあった。 本研究課題を計画していた段階では、このようなエディンバラ大学医学部の重要な役割は見えていなかった。予定外になるが、引き続きこの点については研究を進めるべきであろうと判断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も引き続き、新型コロナの影響で海外調査は断念せざるを得なかった。その分、新しい領域の文献に広く当たったことで、研究課題を計画した段階では知られていなかった領域での重要な対象を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
エディンバラ大学医学部を軸とする、スコットランドの知識人とアメリカ植民地の知識人との交流ネットワークは、当初の研究課題計画には全く含まれていなかった。けれどもどうやらこれはかなりカギとなるネットワークなので、計画外ではあるものの、次年度以降も引き続き時間を割いて調査すべきであると判断している。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)