Project/Area Number |
21K01463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
薗田 竜之介 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (90720201)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 賃金の上方硬直性 / 二重労働市場 / 産業間の異質性 / 所得分配 / 需要形成 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、産業と労働力の異質性に着目し、近年の日本において賃金が上昇しづらくなっている構造的要因を実証するものである。賃金を押し下げるメカニズムは、製造業とサービス業、正規労働者と非正規労働者とでそれぞれ異なっている可能性がある。また、労働者の賃金水準と産出水準とは相互に影響を与え合って変動していると考えられる。そこで本研究では、産業ごと、雇用形態ごとに異なる賃金決定メカニズムが組み合わさることによって、マクロ経済レベルにおいて賃金と産出の間にどのような相互連関が形成されているかをデータから明らかにし、日本において望ましい賃金上昇が実現するための条件を示すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、賃金と需要が相互に影響を及ぼしあいながら変動するマクロ動学モデルを構築し、日本において重要な問題とされてきた「賃金の上方硬直性」の要因について、より精緻な説明を与えることである。本研究では、「産業の異質性」と「雇用形態の異質性」の2点に着目し、以下のような複合的な要因によって賃金の上方硬直性がもたらされているという仮説を立て、その検証を目指した。 研究期間3年目となる2023年度においては、1年目に収集した1990~2020年の日本における産業別・雇用形態別の賃金水準・産出に係るデータと、2年目に構築した推計モデルに基づいて、賃金水準の決定要因に関する実証分析を行った。その結果、以下の知見が得られた。 まず、多くの貿易財が含まれる製造業部門においては,国際価格競争の圧力が強く作用しているのではないかという仮説の通り、実質為替レートが一つの重要な要因となっており、また賃金シェアの下落に対応してそれを回復させるようなメカニズムも観察されず、雇用維持を優先して賃上げ要求を控えがちな日本の企業別労働組合の特質が影響しているとの仮説を、裏づける結果となった。 他方、サービス業部門においては、非正規労働者の賃金水準が産業全体の賃金水準を強く規定しており、これが外部労働市場の動向に反応して決定していることが確認された。すなわち非正規雇用者の比率が高いサービス業部門においては、日本全体の賃金停滞と国内市場における需要の伸び悩みによって、賃金水準への抑制が働いたのではないかと解釈できる。 これに続いて、これらの賃金決定のメカニズムと、需要形成の相互作用をとらえるために、マクロ動学モデルの構築に取り組み、その実証に向けての準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間3年目となる2023年度には、2年目に引き続いて、これまでの研究期間で収集したデータや構築した推計モデルを用いて、日本の産業別・雇用形態別の賃金決定メカニズムに関する推計を実行した。また、複数のモデルの推計結果を比較し、その頑健性の確認も行った。 その推計の結果、製造業、サービス業、正規雇用、非正規雇用の各領域における賃金決定要因として、おおむね当初の仮説通りの結論を得ることができ、産業および雇用形態の異質性を視野に入れた賃金の上方硬直性の構造的背景の分析を進めることができた。 しかし、前年度の時点で課題であった、賃金の変化がマクロレベルでの有効需要形成を通じて産出に影響するという逆の経路にも焦点を当て、需要と分配の相互作用をとらえることについては、ある程度までマクロ動学モデルを構築することはできたものの、それを推計して結果をまとめるには至っていない。 当初の計画では、3年間で研究成果を論文の形にまとめ、海外査読誌に投稿して公表する予定であったが、3年目終了時点でその目標を達成できなかったため、研究の進捗はやや遅れていると言える。しかし、研究期間を1年延長したため、4年目にあたる2024年度には、研究成果を論文の形にまとめ、公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し、4年目となる2024年度は、賃金決定を通じた所得分配の動向が需要形成と産出の変動にもたらすメカニズムについても、定式化と推計を行い、賃金と産出とが相互作用するマクロ動学構造について、実証結果を得ることを目指す。 その上で、最終的に得られた研究成果を英語論文の形にまとめ上げ、国際査読誌に投稿して掲載・公表を実現することを、目標とする。
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