Empirical Analysis on Metabolism of Market Focusing on Transactions between Firms
Project/Area Number |
21K01490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
中村 豪 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60323812)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 企業間取引 / マークアップ / 生産性 / 市場競争 / マークアップ率 / 競争 / 新陳代謝 |
Outline of Research at the Start |
市場での競争は、生産性が高い企業のシェア拡大を促し、過大に高い価格設定をする企業のシェアを抑え、経済厚生が高める働きを持つと考えられる。そのため優れた新技術を持つ企業が参入すれば、既存企業はシェアを奪われ、あるいは価格支配力を弱めることになる。 こうした市場の新陳代謝機能が実際にどの程度働いているのかを、広く日本経済をカバーする企業パネルデータセットを構築して、企業間取引に着目する形で実証的に分析する。具体的には、生産性の高い企業やマークアップ率が低い企業ほど、取引を持続しやすいかを探ることになる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、日本企業の大規模なパネルデータセットを用い、企業間取引関係の状態とマークアップの相関について実証的な分析を行った。具体的には、経済産業省企業活動基本調査の2007~2018年の調査票データをもとに、企業のマークアップが上流の取引相手(調達元)・下流の取引相手(販売先)の数とどのような関係にあるかを見ている。取引相手数のデータは、東京商工リサーチの企業間取引データより得ている。これらは経済産業研究所(RIETI)の協力によって入手したデータである。 主要な推定結果としては、上流の取引相手が多いほど、企業のマークアップは低いという関係が製造業・非製造業ともに見られ、また下流の取引相手が多いほど、企業のマークアップは高いという関係が、製造業のみについて見られている。これらの結果は、企業規模や企業年齢、産業固有の効果、年固有の効果などをコントロールした上で得られたものである。 日本企業のマークアップの推移については、他の主要国とは異なる傾向が見られるところ、本研究ではその背後にある要因について、企業間取引関係の状態を含む大規模企業パネルデータセットを用いて迫っている点に特色がある。 現時点までに得られた結果については、必ずしも因果関係を見たものではないが、各企業が企業間の取引ネットワークの中で置かれている位置・状態により、マークアップの水準が異なるという相関関係までは見出されている。産業内の新陳代謝や、コロナ禍による廃業など、企業数はさまざまな要因によって変化し、それに伴い各企業の取引相手の数も変化しうる。そのような変化が企業のマークアップにどのような影響を及ぼすのかは、今後の日本企業全体のマークアップの推移にも重要な意味を持つと考えられる。本研究はその点への貢献が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経済産業研究所(RIETI)の協力もあり、日本企業について産業を広範にカバーする大規模パネルデータセットを構築するためのデータ収集は円滑に進展した。2022年度はそれをもとに、計量経済学的な分析を行っている。計量経済学的な分析については、現段階では相関関係を見るものに留まってはいるが、相関関係としても興味深い観察事実を見出すことができている。これらの結果は使用したデータセットの規模が大きいこともあり、定式化のバリエーションに対して頑健なものになっている点も重要である。企業のマークアップと、企業間取引関係における位置・状態の関係について、さらに考察を深めるべき実証的な土台が形成できたものといえる。 なお、ここまでの結果については"Japanese Firms' Markups and Firm-to-firm Transactions" RIETI Discussion Paper 22-E-083 としてまとめられている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの計量経済学的な分析によって得られた結果は興味深いものである一方、その解釈については単純なものではないものと考えられている。例えば調達先が多数あれば、それらの間で競争が働くため購入費用を抑えることができ、マークアップを高めるということも理論的には想定されるが、得られた結果は逆である。 そのため、2023年度についてはこのような観察事実を説明する理論の探究にも力を入れる必要がある。企業間取引関係と企業のパフォーマンスについての研究は、諸外国のデータを用いたものがいくつか出てきており、それらも含め、改めて関連する研究を押さえながら理論的な考察を深めることを目指すこととする。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)