Project/Area Number |
21K01523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川地 啓介 三重大学, 人文学部, 准教授 (40455069)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 財政競争 / 公共経済学 |
Outline of Research at the Start |
多国籍企業の課税逃れを防止するために国際的な法人課税ルールの見直しが進んでいるが、デジタルサービス税を独自に導入する国が相次ぎ、拡大を続けてきた欧州連合から英国が離脱するなど、各国による協調と逸脱の動きが表出している。さらに、世界的な感染症の流行による経済の停滞がこれらの問題を複雑化させている。本研究では、これらの近年顕在化している諸問題に対して基礎的研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に構築を試みた財政競争理論に関する本研究の基本モデルの拡張を試みた。具体的には、産油国と非産油国との間で国際的に取引される石油が各国において生産活動に用いられ、その生産過程において排出される他国にも波及し得る環境汚染物質に対して各国政府によって環境税が課される枠組みに、産油国のみが参加する部分的な政策協調に当該国の政府が参加するか否かを長期的な視野に立って意思決定を行う状況を明示的に導入した。その上で、環境汚染物質の排出に対する国民や政策立案者の選好が各国で異なる場合、それを反映して各国の政府によって設定される環境税の税率に乖離が生じることで国際的な石油の取引に影響を与える可能性があるため、環境汚染物質の排出に対する選好の異質性が、部分的な政策協調の持続可能性や産油国の政府に内在する部分的な政策協調からの逸脱誘因に及ぼす効果について分析を行った。分析の結果、産油国の政府が部分的な政策協調への参加を長期的な視野のもとで意思決定する場合に、部分的な政策協調が維持される可能性があることが得られた。さらに、環境汚染物質の排出に対する選好の産油国間の異質性が部分的な政策協調からの逸脱誘因に差異を生じさせ、環境汚染物質の排出抑制について関心の低い国民や政策立案者が居住する産油国の政府の方が、その関心の高い産油国の政府よりも部分的な政策協調から逸脱する誘因を有する可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度に計画していた文献調査の進展が新型コロナウイルスの感染が想定したほど収束しなかったために遅れたことが、昨年度と同様に今年度にも影響している。さらに、昨年度に構築した基本モデルが煩雑なものとなり今年度に内容を精査する作業が必要となり、基本モデルの拡張と並行して行ったため、拡張したモデルの精緻化を今年度内に行うことができなかった。以上から、本研究の進捗は、当初予定していたものよりやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度に拡張したモデルの精緻化に注力する予定である。具体的には、今年度の分析によりいくつかの結果が得られたため、来年度はパラメータの変化が均衡に与える影響を詳細に分析することで均衡の特性を明らかにし、各国政府に内在する誘因や各国政府による政策決定が経済に及ぼすメカニズムを解明することに取り組む。その上で、まとまった分析結果を導出することができたら、その結果を論文の形にまとめることを目標とする。
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