Project/Area Number |
21K01532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
井田 知也 近畿大学, 経済学部, 教授 (50315313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 宏 大分大学, 経済学部, 准教授 (30381023)
井川 純一 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (90748401)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 自治体の連携と集約 / 人口減少社会 / 住民満足 / 持続可能性 |
Outline of Research at the Start |
人口減少社会の今後の到来に伴い、財政難に直面する多くの地方公共団体では、現在の公共サービスの水準を維持できず、市民生活にも大きな支障が生じることが予想される。従来から我が国では、この課題に対する有効な地域政策として「自治体の連携と集約」がとられてきた。しかし、国内外の分析結果を見ると両者の効果に必ずしも肯定的でない。この要因は実施する分野や形態で異なるその効果を、総括的に分析しているためと推測する。そこで、本研究では自治体の連携と集約が公共サービスの供給費用と品質に及ぼす効果を分野別と形態別に分析して、持続可能で住民も満足できるそのあり方を効果的な分野と形態を中心に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究事業の(2)理論分析「地方歳出関数の導出と公共サービスの集約と連携の弾力性の定式化」、(3)実証分析「地方歳出関数の推計と公共サービスの集約と連携の弾力性の計測」、(4)政策提言「持続可能性と住民の満足を両立する地方自治体の集約と連携に係る提言」の中で、2022年度は公共サービスを水道事業に絞りその供給費用に地方自治体の集約が及ぼす効果を分析した。そして、地方自治体の集約と密接に関連する都市のスプロール化やスポンジ化が進む市町村では、施設規模だけでは測定できない供給費用の増加を念頭に置いた効率的な水道事業の運営が必要との提言を行った。但し、この分析では可視化が困難な都市のスプロール化やスポンジ化という都市構造は代理変数を構築して計測しており、その構築方法に関して恣意性を完全に排除できているとは言い難い。また、分析対象を水道事業に特化した影響も懸念されることから、2023年度は(2)理論分析と(3)実証分析において、理論的な考察から因果を明らかにした上で研究計画書にも示した共分散構造分析に基づきその推計を行った。他方、(4)政策提言では、従前からの分析結果を踏まえて、地方自治体の集約と連携に関して提言を行った。まず、地方自治体の集約に関しては、郊外居住に魅力を感じる住民がいる限り完全な居住制限は不可能なため、現在の都市構造を前提とした次善的な対策が地方自治体には今後求められると提言した。他方、地方自治体の連携に関しては、現行の様々な対策は主に自治体単位が多く実施可能な選択肢が限定的なため,地方自治体間での公共施設の共有および地方公共サービスの共同提供の推進が必要であると提言した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究事業は(1)基礎分析「集約と連携の指標構築とのヒアリング調査」、(2)理論分析「地方歳出関数の導出と公共サービスの集約と連携の弾力性の定式化)」、(3)実証分析「地方歳出関数の推計と公共サービスの集約と連携の弾力性の計測」、(4)政策提言「持続可能性と住民の満足を両立する自治体の集約と連携に係る提言」から構成されている。(1)基礎分析では新型感染症の影響で実施が困難だった地方自治体に対するヒアリング調査を、その連携と集約に密接に関連する都市のスプロール化とスポンジ化に積極的に取り組む和歌山市で実施できたことから、2022年度までに予定した研究内容は概ね遂行できたと言える。そして、(4)政策提言に関しても、2022年度に日本地方財政学会第30回大会で口頭発表を行い、都市のスプロール化やスポンジ化が進む市町村に対して、地方自治体の集約に関する今後の方策を提言できた。さらに、2023年年度は『コンパクトシティの経済分析(西垣泰幸・井田知也・山下直人・西山俊一・ヴェルナー=パスチャ・足立寿通・東祐三・西本秀樹著/日本経済評論社)』において、地方自治体の連携と集約のあり方に関して提言を行えた。他方、(2)理論分析と(3)実証分析については、2022年度までに公共サービスを水道事業に絞りその供給費用に地方自治体の集約が及ぼす効果を分析した。そして、2023年度はこの分析の懸念点を克服すると同時に頑健性をさらに高めるために、研究対象を一般的な公共サービスに広げて都市構造と地方公共費用の関係に関して共分散構造分析を行った。この様に地方自治体の集約しては一定の研究成果を得ているが、その連携に関しては研究が十分とは言い難い。以上の結果、本研究事業は、概ね少し遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究事業は、(1)基礎分析「集約と連携の指標構築と定住自立圏のヒアリング調査」、(2)理論分析「地方歳出関数の導出と公共サービスの集約と連携の弾力性の定式化」、(3)実証分析「地方歳出関数の推計と公共サービスの集約と連携の弾力性の計測」、(4)政策提言「持続可能性と住民の満足を両立する地方自治体の集約と連携に係る提言」からなる。(1)基礎分析は概ね完了しており、今後は(2)理論分析と(3)実証分析を充実させ、その研究成果に基づき(4)政策提言も適時行う予定である。まず、地方自治体の集約に関しては、2023年度に実施した都市構造と地方公共費用の関係に関する共分散構造分析では、単純化した基礎モデルでは既に良好な結果を得ている。そこで、2024年度は現実により近づけた拡張モデルで同分析を試みる。次に、地方自治体の連携に関しては、2023年度までに様々な回帰分析を実施したが、あまり良好な推計結果を得ることができなかった。そのため、2024年度は分析対象を地方自治体の連携が進む消防分野に絞り、地方自治体の集約に関して共分散構造分析を実施する。そして、各分析の成果に基づき実効性が高い地方自治体の集約と連携に係る政策提言を行い、学会報告と査読付学術雑誌への投稿等を通じてその公表に努める。
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