Project/Area Number |
21K01567
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
小川 英治 東京経済大学, 経済学部, 教授 (80185503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 輸出企業の動学的行動 / 為替相場変動 / グローバルショック / 調査票情報データ / 需要不確実性 / 輸出 / 対外直接投資 / 需要学習 / 販売ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
輸出企業の動学的行動に関する研究の近年における新しい発展を踏まて、本研究では、為替相場の変動及び世界金融危機やコロナショックなどのグローバルショックが輸出企業の動学的行動にどのような影響を及ぼすかについて理論的・実証的に分析する。輸出企業の動学的行動に影響を及ぼすと想定される埋没参入費用、技術革新、顧客ベース蓄積、輸出者と輸入者の間の信頼関係の制約(サーチ費用)及び金融制約などの決定要因をすべて織り込んだ統合理論モデルを構築する。そのうえで、その統合理論モデルに基づいて、為替相場変動及びグローバルショックが輸出企業の動学的行動にどのような影響を実際に及ぼすかを実証的に分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
輸出企業の動学的行動に関する研究の近年における新しい発展を踏まえて、本研究では、為替相場の変動及び世界金融危機やコロナショックなどのグローバルショックが輸出企業の動学的行動にどのような影響を及ぼすかについて理論的・実証的に分析した。本研究の目的(①輸出企業の動学的行動に影響を及ぼすと想定される埋没参入費用、需要学習を織り込んだ統合理論モデルを構築する。②その理論モデルに基づいて、為替相場変動が輸出企業の行動にどれほどの影響を及ぼすかを実証的に分析する。③世界金融危機やコロナショックなどのグローバルショックが輸出企業の動学的行動に及ぼす影響を実証的に分析する。)を達成するために、日本企業が海外市場に現地法人の設立する際に需要の不確実性が影響を及ぼすことを説明する理論モデルを構築し、さらに、進出先市場における日系同業他社からの需要学習を踏まえた理論モデルに発展させた。経済産業省より提供いただいた「企業活動基本調査」と「海外事業活動基本調査」の調査票情報データを利用して、日本企業が海外市場に現地法人を設立する際に需要の不確実性が影響を及ぼすことを実証的に分析した。分析結果に基づいて、経済産業研究所「為替レートと国際通貨」研究会において発表し、経済産業研究所ディスカッションペーパーシリーズとして論文("Firms' Internationalization Decisions and Demand Learning," RIETI Discussion Paper Series, 24-E-019, February 2024)を公刊した。さらに、共同研究者の谷とともに、令和6年2月5日にEconomic Research Institute for ASEAN and East Asia (ERIA) におけるInsightful Discoursesで当該論文の報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行において、Ecole Polytechniqueで在外研究を行った谷直起氏(財務省大臣官房総合政策課、京都大学経済研究所)に共同研究者として理論的・実証的研究の両面において本研究に協力していただいていることが、進捗状況が順調である理由の一つである。また、経済産業研究所を通じて経済産業省から「企業活動基本調査」と「海外事業活動基本調査」の調査票情報データを提供していただいていることも実証的分析を遂行するに際して大きく貢献しており、令和5年度には経済産業研究所から経済産業研究所ディスカッションペーパーシリーズとして論文を公刊するとともに、海外出張に出かけて、Economic Research Institute for ASEAN and East Asia (ERIA) におけるInsightful Discoursesで報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度においては、6月1日に東北学院大学で開催される日本国際経済学会で発表することが決まっていて、そこでの発表に対するコメントに基づいて、論文をより一層精緻化することを図る予定である。埋没参入費用、需要学習を考慮に入れて構築した理論モデルについて、日本企業の海外事業活動(海外現地法人の売上高や企業規模の拡大や親会社との企業内貿易の推移)を明示的に加味することにより、発展させる。そして、上記の理論モデルに基づいて、パラメーターの構造推定を行う。構造推定に際して、現地子会社が進出先の外国市場で自社の需要レベルを学習することを想定する。その上で、需要学習プロセスの違いが企業の外国市場での生存・撤退戦略にどのような違いを及ぼすかを分析する。構造推定により得られたパラメーターに基づいて精緻化された統合理論モデルを利用して、外的ショックに対する日本企業の行動に関してシミュレーション分析を行う。為替レート変動や経済連携協定発効による貿易コスト低下のほか、世界金融危機時の世界的な総需要収縮と金融機関の機能不全による流動性危機やコロナショック時の総需要蒸発とグローバルサプライチェーンの寸断による総供給収縮及び世界各国の経済政策不確実性に注目する。これらの分析によって得られた結果及びマクロ経済政策・貿易政策に対するインプリケーションを取り纏め、研究成果を一層発展させる。
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