Comparative Empirical Research on the Economic Effects of the Lehman Brothers Collapse and COVID-19 Pandemic
Project/Area Number |
21K01590
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
英 邦広 関西大学, 商学部, 教授 (40547949)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 株価上昇効果 / 株価プレミアム縮小効果 / 株価変動抑制効果 / 消費 / VARモデル / リーマン・ショック / コロナ・ショック / 金融市場 / グランジャーの因果性 / 経済的影響 |
Outline of Research at the Start |
2008年に発生したリーマン・ショックと2020年に発生したコロナ・ショックは、近年起きた世界的な経済ショックの中でも際立って規模の大きく深刻なものである。 本研究は、この2つのショックの影響を各ショックが起きた時の非伝統的金融政策下での追加的な金融緩和に関する金融面、財政再建下での追加的な支援金給付に関する財政面、大都市集中型社会が抱える地政学的リスクに関する社会面といった日本における個別事情を考慮し、金融市場に対し直接的に与えた影響、実体経済に対し直接的または間接的に与えた影響を理論的・実証的・歴史的な見地から考察・検証していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度で主に行ったことは、2021年度の分析した内容や考察した内容を基に、リーマン・ショック後とコロナ・ショック後の経済状況の比較検証を行うために、ベクトル自己回帰モデル (VARモデル) を利用して生産、消費、金融市場、金融緩和の関係を検証したことである。対象期間としては、2008年9月から2011年6月までの分析期間と2020年1月から2022年10月までの分析期間となっている。得られた主な結果は次となる。1番目に、GDPの低下はリーマン・ショック後よりもコロナ・ショック後による影響の方が大きいことである。しかし、GDPの構成項目別の影響を見ていくと、財貨・サービスの輸出や輸入は、コロナ・ショックよりもリーマン・ショックによる影響の方が大きいことも分かった。2番目に、マネタリーベース平均残高と政府債務合計の推移から、リーマン・ショック後よりもコロナ・ショック後の方が日本銀行による大規模な金融緩和や政府による積極的な財政支出を実施してきていたことが分かった。3番目に、日本銀行によるマネタリーベースの拡大を通じた株価上昇効果、株価プレミアム縮小効果、株価変動抑制効果は統計的有意な結果として確認することができなかった。4番目に、株価上昇を通じて消費が拡大する効果がコロナ・ショック後で統計的有意な結果として確認することができた。1番目から4番目までの分析結果から、コロナ・ショック後の方がリーマン・ショック後よりもGDPの落ち込みが大きく、経済政策の規模も大きかったことが分かった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大はいまだに収束する気配がないことや、新型コロナウイルス感染症に対する政府の見解が「新型インフルエンザ等感染症 (2類相当) 」から「5類感染症」になることもあり、withコロナ禍での生活様式の変化を考慮に入れたうえでの経済対策が必要となる可能性がでてくる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度では、2021年度と同様に、リーマン・ショックとコロナ・ショックの経済的影響を比較検証するために、GDP統計、労働市場、金融市場におけるデータを用いて各ショックがどの程度継続し、元の水準に戻るまでにどの程度時間が必要であったかについて考察をした。また、リーマン・ショック後とコロナ・ショック後の金融政策と財政政策といった経済政策対応についても調査し、その規模についても考察をした。実証分析からは、金融緩和を通じた株価上昇効果、株価プレミアム縮小効果、株価変動抑制効果、生産や消費の拡大は統計的有意な結果として確認されなかったことが挙げられる。本研究では、次の2点について明らかにすることを目的としている。1)リーマン・ショックとコロナ・ショックが金融市場と実体経済に対しどのような影響を与えたか。2)ショック後に実施された経済政策が金融市場と実体経済に対しどの程度有効であったのか。2022年度では、1)について、GDP統計、労働市場、金融市場のデータの推移から明らかにすることができた。2)について、金融政策による金融緩和規模に関してはマネタリーベース平均残高のデータの推移から考察し、財政政策による財政支出規模に関しては普通国債等/現存額や政府債務合計のデータの推移から考察し、その規模を明らかにすることができた。また、計量経済学の手法を用いて、リーマン・ショック後とコロナ・ショック後の金融緩和と生産、消費、株価に与えた影響について分析した結果、金融緩和が生産、消費、株価に頑健的な影響を与えていたという結果は確認できなかった。ただし、株価の上昇を通じた効果に関しては今後さらなる分析を行うことでその効果が確認できる可能性もでてきた。上記については、研究計画で予定していた作業であるため、現時点では、「おおむね順調に進展している。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、1)リーマン・ショックとコロナ・ショックが金融市場と実体経済に対しどのような影響を与えたか、2)ショック後に実施された経済政策が金融市場と実体経済に対しどの程度有効であったのかについて、明らかにすることを目的としている。1)について、研究期間の1年目に、実質GDP、完全失業率、日経平均株価指数の推移から明らかにすることができた。研究期間の2年目に、実質GDP、家計最終消費支出、住宅投資、財貨・サービスの輸出、財貨・サービスの輸入、完全失業率、日経平均株価指数、長期金利の推移から明らかにすることができた。2)について、研究期間の2年目に、マネタリーベース平均残高から金融緩和の規模、普通国債等/現存額と政務債務合計から財政支出の規模について明らかにした。また、計量経済学の手法を用いて、リーマン・ショック後とコロナ・ショック後の金融緩和の拡大が生産、消費、株価に与えた影響について分析、考察をした。今後は、1)についてのデータの推移の再確認を継続して行うとともに、2)についてはwithコロナ禍になったことも考慮に入れた財政政策運営の内容や日本銀行総裁が交代したことによる金融政策運営の変更についても調査し、その直接的・間接的影響を考察・分析していくことにする。また、新型コロナウイルス感染症が拡大・蔓延したことによるテレワーク需要が拡大したことで、都市や地方の経済に対してどのような影響を及ばしたかについても分析、考察をしていき、リーマン・ショックとコロナ・ショックによる経済的影響の比較検証を行うこととする。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)