18世紀フランス内陸への海産物の流通-ラングドック地方でのイワシの消費と商取引-
Project/Area Number |
21K01621
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07070:Economic history-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
君塚 弘恭 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (70755727)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 海港都市史 / 漁業史 / 海域史 / 18世紀フランス / ブルターニュ地方 / ラングドック地方 / 近世ヨーロッパ史 / フランス史 / 商業史 / 社会経済史 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、18世紀フランス内陸地域でイワシの主要な消費地となっていたラングドック地方におけるイワシの流通と消費の実態を解明することである。具体的には、①ラングドック地方における海産物の消費文化の調査、②生産地からラングドック地方までの輸送ルートと商業ネットワークの解明、③イワシの需要と供給量の変化とその要因を研究する。 本研究は、生産地から消費地までの流通ネットワークを課題とし、貿易史と漁業史を結びつけるものとなる。また、海産物の消費文化というこれまでと異なる観点からイワシの流通について検証する新しい研究となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、18世紀フランスにおける国内商業に関する研究として、大西洋沿岸から内陸に運ばれた商品としてイワシの商取引に着目し、その主要な消費地であったラングドック地方におけるイワシの流通と消費に関する実態調査を行うものである。新型コロナウイルスによるパンデミックの影響を受けて、2021年度において資料調査のための渡航が困難となり、その結果研究計画の変更が必要となった。また、2022年度も引き続き海外に資料調査に渡航することのリスクや本務校での教育業務に支障をきたすことを避け、申請者は2021年度に引き続き、コロナ前に予備的調査で収集した資料とインターネットで参照可能な18世紀に出版された書籍を用いて研究を続けた。 以上のような理由から、申請者は、塩漬けイワシ交易に関わった貿易商人の残した文書や18世紀の植物学者・海洋学者デュアメル・デュ・モンソーの記録を読み解き、その結果次のような成果を得た。第1に、ラングドック地方で取引された塩漬けイワシには、ブルターニュ産の他に、サントンジュ地方沿岸で生産されたもの、また、カタロニア沿岸で生産された地中海イワシもあった。第2に、18世紀になると地中海産イワシが一時的に減少するが、そこにはローヌ河流域の環境の変化が関係し、その結果、より大西洋産のイワシが重視されるようになった。また、この研究過程で、大西洋でのイワシ漁の餌となる魚卵がオランダやデンマークから買い付けられ、その帰り荷としてコーヒーが輸出されたことが明らかとなった。この成果については、「一八世紀フランスの国際商業とコーヒーの流通」(『史潮』第92号2022年12月)に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度の調査研究状況としては、当初の予定から遅れている。その理由は、2021年度に続き、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続いたことである。Covid19の感染拡大が続いたことにより、渡航した場合の感染リスクと帰国後の隔離措置によって、フランス出張が十分な成果をあげられないばかりか、本務校における教育活動に支障をきたす恐れも考えられた。そのため、現地での資料収集を実施することができず、前述したように、これまでに収集した史料やインターネットで参照可能な文献、海外の研究者とのメールでのやり取りを通じて得られた情報を中心に研究を進めざるを得なかった。したがって、消費地であるラングドック地方における塩漬けイワシの消費や、販売に関する具体的なデータについては収集できていない。他方で、ラングドック地方におけるイワシの消費に関する数量的な研究はできていないものの、18世紀に書かれた著作から塩漬けイワシの消費について同時代人の証言を得ることはできた。2023年度は、新型コロナウイルスの感染状況も変化しているので、予定通り資料調査を実施し、遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、2022年度までに実施できなかったボルドー、トゥルーズ、モンペリエでの史料調査を実施する。ボルドーについては、ジロンド県文書館の詳細な所蔵史料目録が存在し、インターネットでも参照可能である。また、商業会議所や貿易商人の目録は、事前調査ですでに必要な箇所を記録してあるので、それをもとに現地調査を実行することが可能である。次に、トゥルーズやモンペリエについては、現地で直接文書館で調査することになる。これについては、課題3であげているラングドック地方におけるイワシの需要の変化について、税関で作成された租税記録や貿易商人の記録の分析を中心に行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)