製造企業の品質創造経営の核心となる組織的理解共有状態の視覚化動態モデルの開発研究
Project/Area Number |
21K01681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
海老根 敦子 駿河台大学, 経済経営学部, 教授 (30341754)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 品質創造経営 / 組織コミュニケーション / IFM(相互作用する場のモデル) / 組織的理解共有状態の動態モデル / 視覚化シミュレーション / 組織のコミュニケーション管理 / 品質創造力 / 製造企業 / 経営学 / 組織コミュニケーションの状態 / 視覚化動態モデル |
Outline of Research at the Start |
本研究は,組織コミュニケーションの状態,すなわち組織的理解共有の状態を把握して個々の製造企業の品質創造経営の課題解決に応用しようとする申請者の先行研究の継続的発展である。今回の研究では,独自開発した組織コミュニケーションの理論的モデル《相互作用する場のモデルIFM》に基づいて,時空内に展開する組織的理解共有状態を視覚的に把握可能な動態モデルの開発を通じて,品質創造経営の状態を診断・改善する指針を追究する。この動態モデルは,現実の組織的理解共有状態の問題の本質を直接的に見える化し,組織コミュニケーションの管理運営に直観的示唆を与えるばかりではなく,人材育成の教育ツールとしても効力を発揮する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の研究実績は次の通りである。 1.製造企業実態調査:本研究の推進基軸となる組織コミュニケーションの概念的理論モデル《相互作用する場のモデルIFM》を独自開発している。IFMを調査データ解析の理論的基準モデルとして応用し,組織コミュニケーション状態の実態を把握する目的で,典型的な製造企業6事業所を対象に2017年度から3年間毎年継続的に実態調査を実施した。 (1)本年度は実態調査データの解析結果をまとめた最終調査報告書を作成し,6事業所にフィードバック報告し,3年間の経時変化を踏まえながら,各事業所担当者と議論した。 (2)(1)から得られた知見は次の通りである。①品質競争力と,品質創造活動に関わる組織コミュニケーション水準との間には正の相関がある。②この組織コミュニケーション水準は,マクロ的に集約された組織全体の特性であり,その背後にはミクロ的挙動として,構成員個々人の多様で複雑なコミュニケーション状態が存在する。③品質競争力を向上させるためには,次のような管理職のコミュニケーションが肝要である。(ア)諸側面の活動において,全方位的にバランスがとれた状態でコミュニケーション水準を高めること。(イ)情報の受信者となる一般従業員個々人のミクロ的コミュニケーション状態が多様であることを念頭に置いて,受信者が情報と相互作用を起こし,受信者の理解共有状態が改善するように,情報発信すること。 2.動態モデル開発:開発に使用するシミュレータの機能とモデリング構造特性を検討し,小規模集団の動態モデルを記述する仕様を決定した。このモデルは,組織構成員を非同期型エージェントで模擬し,少人数の構成員から成る集団の組織的理解共有状態をIFMに基づいて表現するものであり,動態モデルの基本となるベーシック・モデルである。現在,この仕様に沿って,シミュレータに実装するプログラムを開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の常として,研究遂行は必ずしも当初の想定とは一致していない。本研究は,組織コミュニケーションの概念的理論モデルIFMを動態モデル開発の拠り所にしている。IFMで提示したコミュニケーションの素過程,すなわち個人間の理解共有というミクロな構造から,組織全体の理解共有というマクロな構造を構築し,時空に展開する組織コミュニケーション状態の動態モデルを開発するという手法を想定していた。具体的には,先ず,基本単位となるミクロな構造であるコミュニケーションの素過程をモデリングしたプリミティブ・モデルを開発し,そのプリミティブ・モデルを組み合わせ,積み重ねるという方法で,マクロな構造である組織全体のコミュニケーション状態を模擬するという手法である。 しかし,シミュレータのモデリング構造を検討した結果,この手法でマクロな構造を構築することは難しいことが判明した。それゆえ,プリミティブ・モデルを基本単位とする構築手法から,複数の組織構成員から成る小規模集団の動態をモデリングしたベーシック・モデルを基本単位としてマクロな構造を模擬するという構築手法に変更した。 現在,この小規模集団のベーシック・モデルを開発中である。よって,研究はおおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究実施推進方策は次の通りである。 前年度の成果を継続的に発展させ,ベーシック・モデルの開発とそのベーシック・モデルに基づく組織全体のマクロな動態モデルの開発を中心に実施する。具体的には次の手順で進める。 (1)現在開発中の小規模集団を表現したベーシック・モデルを完成させる。 (2)ベーシック・モデルの各種パラメータを操作し,IFM(interacting field model of organizational communication)で提示したコミュニケーションのミクロな構造,すなわち組織を構成する個人間の理解共有の素過程において,①outside viewとして観られる情報伝達の状態と②inside viewとして表現できる組織構成員の内部で起きる,情報と個人の知的システムの相互作用の挙動特性について,パラメータとの関係を検討する。 (3)ベーシック・モデルを基に,組織全体のマクロな構造を模擬した動態モデルを開発する。このモデルでは,製造企業実態調査のデータ解析からこれまでに得られた幾多の知見,たとえば,組織構成員個々人の理解共有状態の多様性と複雑性の様相や,組織としての理解共有状態と品質創造力との関係等を,組織構成員のミクロ的挙動と組織のマクロ的特性との関係として表現する方法を探究する。 (4)動態モデルのシミュレーション結果として得られる組織構成員の理解度の変化や組織的理解共有状態の変化を視覚的に把握できる表現方法を検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)