Project/Area Number |
21K01789
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
宮地 晃輔 長崎県立大学, 経営学部, 教授 (60332011)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 脱炭素化社会 / 海事産業 / 船舶金融 / シップファイナンス / 船舶融資 / ポセイドン原則 / 会計問題 / 海事産業(海運業・造船業) / 脱炭素化 / IMO(国際海事機関) / 船舶金融(シップファイナンス) / 管理会計 / ライフサイクル・コスティング(LCC) / 原価企画 / 地域経済 / BSC(Balanced Scorecard) / 産業クラスターBSC/ / 今治海事クラスター / 自立化モデル / 産業クラスターBSC |
Outline of Research at the Start |
本研究の学術的背景として、日本の人口減少と生産労働人口の減少およびこれに伴う国内市場の縮小・後継経営者不在による地域企業の廃業・地域経済の疲弊の問題がある。特に地域経済においては有力な基幹産業がある地域では、当該の基幹産業の持続性および持続的な発展の基盤を保全するために、産業クラスターの競争力を高める重要性が増している。地域経済の要として産業クラスターが持続的に発展していくためには、グローバル競争下あるいは国内地域間の競争に耐えうる戦略策定をクラスター内主要プレイヤー間で横断的に策定することが必要になる。地域経済の持続性の維持は差し迫った日本の課題であり、本研究はこの課題克服に寄与する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域経営の品質を高める視点から産業クラスターにBSC導入・運用を図ることの有用性に着目し、今治海事クラスターの主要プレイヤー(海運企業・造船企業・舶用機器企業・地方銀行・行政機関・教育機関など)の主導によるBSC導入・運用のモデルを構築することで、他の産業クラスターでも使用可能な汎用性の高い、地域経済の自立化モデルを構築することを目的としている。 今治海事クラスターの主要プレイヤーとして地方銀行の伊予銀行がある。伊予銀行は船舶金融(Ship Finance:シップファイナンス、船舶融資ともいう)の実行者として、今治海事クラスターを支える主要なプレイヤーである。2019(令和元)年6月以降、船舶金融を担う金融機関に対してポセイドン原則(The Poseidon Principles)への署名(参画)問題の新たな課題が生じている。伊予銀行は2023年10月6日にポセイドン原則に署名し参画している。 海運を支える船舶に対してGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)の排出削減が、国際海事機関(International Maritime Organization:以下、IMO)の規制によって要求され、船舶金融に取り組む銀行に対しても資金供給者としての責任遂行への要求が発生している。これがポセイドン原則の問題である。 2025(令和5)年度では、海事産業の脱炭素化に向けた取り組みの動向を確認したうえで、気候の意思決定に組み込むための原則として発足したポセイドン原則の運用から生じる会計問題についてその内容を探求することで本研究でのBSC導入・運用のための論点の整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、わが国地域経済の基盤を支える産業クラスターの持続性保全及び持続的成長の実現をするために、地域産業クラスターに管理会計技術であるバランスト・スコアカード(Balanced Scorecard:以下、BSC)を導入・運用することでクラスター全体の競争力を高め、将来に向けて地域経済の自立性の確立を可能にするモデルを構築することを目的としている。2023(令和5)年度はポセイドン原則が今後の今治海事クラスターのプレイヤーに影響を与える可能性を想定したうえで本研究におけるBSCの導入・運用に関する論点を整理するための研究を展開した。 ポセイドン原則が、船舶融資のGHG排出削減貢献度を定量的評価と開示(非財務情報の開示)の性質をもつことから社会関連会計との関係性が深いと考えている。ポセイドン原則から開示される情報は非財務情報の性質を有している。一方でBSCは財務と非財務のバランスの特徴を有していることから、ポセイドン原則で開示される情報との共通点がある。本研究における令和5年度の研究進捗の内容を、2023(令和5)年11月25日(土)16:15~17:00日本管理会計学会2023年度第3回フォーラム兼第2回(第65回)九州部会(於 鹿児島国際大学経済学部坂之上キャンパス7号館1階710教室)において、「ポセイドン原則における非財務情報の生成プロセスと開示の影響」のテーマで発表を行っている。この場において管理会計研究者からのピアレビューを実施している。 ポセイドン原則は、署名金融機関のシップファイナンスにおいて、融資期間における対象船舶(個船)のGHG排出を測定することから、海運会社等の資金需要者による船舶の脱GHGへのスピードを加速させることが期待される。この期待が今治海事クラスターの中で今後実現していくかどうか、その可能性も含めての論究が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024(令和6)年度は、今治海事クラスターにBSCを導入・運用するための手順を中心に本研究全体の研究成果を完成させる。そのために、これまでの調査で解明されたことに加えて、今治海事クラスターのプレイヤーに対して必要な追加調査を行う。今治海事クラスターの主要プレイヤーとして海運企業、造船企業、舶用機器企業、地方銀行、行政機関があるが、令和6年度ではこれらの中から追加調査を行う。 また、海事クラスターを支えるサプライヤーの中には中小企業者も含まれているが、好不況の波の影響を受けやすい造船事業との関係において、当該企業者の自己変革力が強く求められる時代となっている。そこで、当初研究計画に加えて海事クラスターを支える中小企業者の自己変革力の必要性と課題を明確にするための調査を実施する。海事産業はすそ野が広い産業であるがゆえに、サプライヤーの生存力をクラスター全体で高めることが必要と考える。 2024(令和6)年度での研究成果は、日本会計研究学会・日本管理会計学会等において発表を行う。
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