Project/Area Number |
21K01827
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
眞鍋 和弘 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 准教授 (40509915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 財務会計 / 保守主義 / 金融危機 |
Outline of Research at the Start |
金融危機の発生後、金融システムの制度設計の見直が進められてきた。こうしたなか、会計研究では会計保守主義に関心が集まっている。しかし、先行研究では会計保守主義の経済合理性を支える理論的基礎が十分に検証されておらず、結果的にその実証結果も解釈の余地が大きい。 そこで、本研究はその理論的基礎の検証を通じて、経済危機における会計保守主義の経済合理性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年年度は,2つの課題に取り掛かった。一つ目は先行研究により指摘される条件付保守主義および無条件保守主義の尺度に代わる新たな指標の開発であり,もう1つはマクロ経済変数による利益ダイナミクスへの影響の分析である。 前者の研究目的は制度上の保守主義の定義に則した企業の会計行動(不確実性に対する慎重な対応)を観察するとともに,保守主義の測定モデルを開発することであった。時系列解析における手法であるGARCHモデルを用いることにより,企業収益の条件付分散(各期におけるボラティリティ)を推定した。また会計発生高の自己回帰モデルに説明変数としてこの条件付分散を含めることにより,不確実性に対する会計行動の分析を可能とした。実証結果によれば,多くの企業において将来収益(性)の不確実性に対する慎重な対応が確認できた。また,当期の収益性が高い場合には将来の不確実性に対するいっそう慎重な対応がおこなわれることが確認できた。 後者の研究目的は過去50年間におけるエネルギー価格および為替レートによる日本企業の収益性に対する影響を明らかにすることであった。特に,分析期間を1974年から1999年までの前半期,2000年から2022年までの後半期に分け,エネルギー価格および為替レートに対する日本企業の耐性の変化を分析した。分析結果は,先行研究と一貫性を有しながら,いくつかの新しい知見が得られた。まず,原油価格および為替レートの内生性を表わす構造VARの推定結果,特に累積インパルス応答関数に関しては先行研究と極めて類似した結果が得られた。一方で,分析期間を前半期と後半期に分け,その結果を比較した場合,後半期において構造ショックによる日本経済への影響は顕著となっている。特に総需要ショックおよび為替レートショックによる日本企業の収益性への影響の高まりが著しい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施した保守主義尺度の開発に関して,残された課題が存在する。本研究は保守主義尺度の提案を目的としたが,本年度ではそこまで十分に検討されているとは言えない。不確実性への対応を捉えるパラメータに関する理論的・実証的分析を通じて,保守主義尺度としての可能性を検討したい。 不確実性への対応を捉える2つのパラメータは,40年以上のデータを通じて,その期間を通じた各企業の保守的行動(傾向)を明らかにする。しかし,企業の保守的傾向は様々な要因によって変化すると考える方が自然であろう。したがって,保守性を表すパラメータを変数と捉え直すことにより,保守的行動(傾向)が移り変わる様子を描写することが求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
会計保守主義と資金調達摩擦の関連性について検証する。具体的には、先行研究によって主張されている資金調達コスト、デフォルト時の資金回収率、経営者のモニタリングに対する会計保守主義の影響を因果推定の方法により検証する。また同様に、会計保守主義と投資活動の関連性について検証する。具体的には、不採算事業の存続に対する会計保守主義の影響などについて検証する。その後に,金融危機における保守主義と投資活動に関する実証研究をおこなう。また論理的に導かれる株式収益率と保守主義の関連性など、企業投資以外の経済事象に対する影響も検証する。
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