東日本大震災からの生活再建を制度・生活資源・認識から分析する枠組みの提案と検証
Project/Area Number |
21K01831
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平川 全機 北海道大学, 文学研究院, 特任助教 (30572862)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 東日本大震災 / 生活再建 / 制度 / 生活資源 / 認識 |
Outline of Research at the Start |
津波で自宅を被災した人々の住宅再建の道筋は、高台移転だけではなく各自で再建先を見つけたり現地に留まったりと多様である。さらに現在建物としての住宅は完成しそこでの生活が始まっているわけだがそれも多くの道筋に分かれている。こうした複線ある住宅再建・生活再建過程を理解するための枠組みを構築するため、本研究では被災者が利用できた住宅再建支援の制度、被災者がアクセスできる医療機関や教育機関・仕事などの生活資源、そして被災者自身のそれらに対する認識に着目する。この3側面が被災から10年という時間軸の上でどうような影響を与え、相互にどのように連関しているかそのダイナニズムを明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災の津波により被災した人びとがこの10年の間にたどった多様で複線的な定住過程の分析枠組みを提案・検証しようとするものである。2021年度は研究計画に従って先行研究の整理と過去のデータの再分析を行った。2022年度は住宅自体の再建がなされた後の生活をいかに再構築していっているのかについて解明することを主目的として2回の現地でのインタビュー調査を実施した。そこで確認できた主要な項目を挙げると以下の3点がある。1つは、新型コロナウイルスの感染拡大による様々な活動の制約により住宅の再建先での住民同士の交流が進んでいないことである。この影響は自治会などの活動が制約されるというレベルから日常の顔を合わせたコミュニケーションの減退まで複数のレベルで起きていることが分かった。2つ目は、東日本大震災から11年という時間が経過し、また住宅が再建した時点から考えても5年近くが経過し、高齢化やそれに伴う住民の移動などがさらに起きている点である。具体的には高齢者が家族と同居するために移動したり、施設入所による移動や災害公営住宅における孤独死/独居死の発生も見られた。また空き住居に新規の住民が移動しているくることもあり住宅再建後も静的なものとして被災地をとらえるのではなく動的なものとして捉え続ける必要性があることを確認できた。3つ目として、東日本大震災による被災の経験というものが被災経験の差や被災者の選択、それらから生じる生活再建の仕方やスピードの違いによって語られにくい側面があるということである。調査進める上ではこの語られることと語られない/語られにくいことの両面に留意する必要がある。 2022年度はこのように現時点での生活再建の様相の一部を明らかにすることができた。一方でより精緻にまたより多角的に把握するためにはさらなる調査が必要であることも明確になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は新型コロナウイルスの感染がある程度収束し現地でのインタビュー調査の実施が再開できることを見込んで当初研究計画を設定していた。しかし感染が拡大していた時期も長く、インタビュー調査を感染拡大中であることを理由に断念せざるを得ない場合もあった。そのため研究計画の上での現地でのインタビュー調査の実施についての側面は当初計画から見て進捗が十分ではない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はまず遅れている現地でのインタビュー調査を新型コロナウイルスの感染拡大防止に留意しながら積極的に実施していく予定である。その上でこれまでに行った既存のデータの分析と合わせて研究目的である分析枠組みの構築に取り組み、なるべく早い時期に検証に取り組みたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(2 results)