Project/Area Number |
21K01915
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Keio University (2023) Aichi University (2021-2022) |
Principal Investigator |
湯川 やよい 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (20723365)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | ペドファイル(小児性愛) / セクシュアリティ / クィア / 非触法ペドファイル / 小児性愛 / ジェンダー / ペドファイル / ナラティブ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、非触法ぺドファイル(子どもを性的な対象とする小児性愛者のうち、性加害を実行したことがない人々)の実態を読み解く仮説生成型の研究である。非触法ぺドファイルが、自身を社会の中でどのように位置づけているのかを、当事者自身のナラティヴ(語り)を主軸として明らかにする。また、近年その実態解明が喫緊の課題とされながら、研究蓄積が極めて薄い非触法ぺドファイルに焦点化することで、子どもの安全を企図する諸政策を展望する議論の基盤を提供するねらいもある。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年一部見直しを行った研究計画にしたがい、(1)方法論上の課題への取り組み、(2)女性当事者の語りを中心に行った。
(1)については、特にEmotions in the Research Processの枠組みで検討を行った(国際社会学会2023年度会議ジョイントセッションで報告)。ペドファイルの意味世界の考察において、しばしば「子どもとしての自己イメージ」が論点となるが、既存研究ではほとんどの場合それらが「病理」として検討されてきた(すなわち、客観的事実とは異なる逸脱的な自己イメージを対象者が有している、との前提に立つ分析)。それに対して本研究では、調査プロセスにおける調査者自身の情動的変容を通じて、客観的事実/他者が主観的に把握する事実の二分法を部分的に留保し、対象者の自己像を共有しうる可能性について、関連諸研究の議論を参照しつつ論じた。この議論は必ずしもすべての対象者に当てはまるわけではないが、限られたケース数での事例横断作業においてペンディングとなっていた方法論的課題の一つに道筋を見出すことができた。 (2)については、予定どおり既存インフォーマントへの継続調査を行った。対象者のライフステージが変化したことにより(学生から社会人への変化)、将来展望、過去への懐古的語りの部分的変化を確認することができた。また、比較対象となる既存の男性対象者1名においても、ライフステージの変化(第2子の誕生)を踏まえたデータが収集できた。長期間の継続調査により対象者の変化を追うことも企図しているため、こうしたデータを取得できたことで、一定の成果をあげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた通り、ライフステージ変化を伴うインフォーマントに関しては概ね計画通り継続調査を遂行することができたため。ただし、その過程ではその他のインフォーマントのデータとあわせて検討した際に、暫定的仮説の見直しが必要となる場面もでてきた。また、事例内での一貫性(過去の語りとの整合・非整合箇所の再検討)も必要である。さらに方法論についても、前述の通り国際会議報告により部分的な成果は報告できたが、その他の事例については必ずしも十分な検討ができなかった。特に、理論的側面については改めての検討が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べたとおり、基本的にはこれまで同様、前年度にアクセスできた女性インフォーマント事例の分析を重視しつつ、来年度は方法論、理論面での検討にもより重点を置きたい(文献検討)。また、学会報告により指摘された問題点(特に海外研究における「調査時の調査者側の情動」を扱った議論)については、新たな視点からのレビューも必要となるため、その点にも注力したい。
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