Project/Area Number |
21K01984
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
篠田 道子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (00319302)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 終末期ケア / 認知症 / 意思決定支援 |
Outline of Research at the Start |
3つの目的を明らかにするため、①本人の意思が推定されるためには「どのようなツール、スキルやマネジメント」が有効で、それを「どのように学習すれば」育成されるのか。②死亡前30日間に「出現した症状と、受けた医療・介護行為」について、「だれが、どのように意思決定」し、「どのような結果」になったのか、③住み慣れた地域で自分らしく終えるためには「どのような条件」が必要で、それらを「どのように展開」すれば実施できるのかについて、6つの調査で明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は以下の3つの課題に取り組んだ。 1.認知機能の低下した利用者に対する意思決定支援について、熟練者がどのような知識とスキルを用いて意思決定し、どのような方法で多職種チームと共有化しているのかを明らかにするために、文献レビューとインタビュー調査を実施した。その結果、①熟練者は10年以上の経験を持ち、②経験に裏打ちされた幅広いアセスメントを行い、③相手の内側に入って共感できるスキルを持ち合わせていた。また、多職種チームへの共有化については①他者からのフィードバックを受け入れる風土がある、②カンファレンスなどで実践知を言語化する場があるなど、熟練者のスキルの共有化には組織文化が関係していることを明らかにした。 2.認知症高齢者の死亡前1か月間の身体的・精神的な経時的変化について、文献レビューとインタビュー調査を実施した。その結果、身体的変化として①嚥下機能の低下や食事量の減少、②意識レベルの低下、③体重減少、④表情や顔貌の変化など6項目、精神的・社会的変化として①意欲の減退、②家族の面会の増加、③意思疎通が困難など、4項目が抽出された。経時的な変化に伴う多職種チームの活動には大きな変化が見られず、日常業務との差も確認できなかった。ただし、死亡前1か月間については、看護師が調整役を担っていた。 3.終末期ケアにおける多職種連携を主題にしたケース教材を使って、学部生によるディスカッションを実施した。評価指標は先行研究を参考に16項目を作成した。4件法の回答に基づき、合計点の幅は16~64点である。その結果、事前自己評価の合計点の集計結果は、中央値49点、最小値39点、最大値59点であった。事前に比べて事後の自己評価の割合は高く、その差異は統計的に有意であった。ほとんどの学生の合計点が増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知症高齢者の死亡前1か月間の身体的・精神的な経時的変化について、文献レビューとインタビュー調査を実施した。文献レビューは予定通り進むも、新しい研究成果が次々と発表され、追い付いていけない状況であった。今後は新しい文献レビューの手法であるスコーピングレビューの手法を用いて効率的に進めたい。 研究を進める過程で、認知症者の意思決定には熟練の技が関与しているのではないかという知見を得た。そのため、新たな研究として、認知機能の低下した利用者に対する意思決定支援について、熟練者がどのような知識とスキルを用いて意思決定し、どのような方法で多職種チームと共有化しているのかを開始した。新たな研究を追加することで、計画していた調査に遅れが生じてしまった。 また、新型コロナウイルスの感染法上の分類が2023年5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことから、国内外でのヒアリング調査を計画していた。しかし、調査対象である医療機関や高齢者施設では「2類」に準じた対策を講じており、ヒアリングには慎重で、感染予防を理由に断られることもあり、調査を縮小せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎え、これまで実施してきた文献レビューの鮮度が落ちてきた。そのため、比較的新しい文献レビューの手法であるスコーピングレビューの手法を用いて、幅広い情報を概観しながらまだ研究されていない範囲を特定し、次の研究につなげる知見を得たい。 2024年1月に公表され「がん診療連携拠点病院における認知症の整備体制に関する実態調査」では、がん診療で地域の中核となる病院の9割が「認知症のがん患者への対応に困ったことがある」と回答している。一部の病院では患者や家族を支援する「サポーティブケアセンター」を設置して対応をしているが、多くの医療機関や高齢者施設はどのような連携体制を構築し、どのように対応しているのかは明らかではない。最終年度は、認知症終末期における認知症がん患者に対する困りごととその対応方法、連携方法についての研究に着手する予定である。 2023年度に実施した調査「認知機能が低下した利用者に対する意思決定支援」について、熟練者がどのような知識とスキルを用いて意思決定し、どのような方法で多職種チームと共有化しているかについて、引き続き調査を実施し、学術論文として投稿する予定である。
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