Project/Area Number |
21K02127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
仲西 正 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (90198143)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | オムツ / 高分子ゲル / 膨潤 / ポリビニルアルコール / 糖類 / 消臭 / 吸水性 |
Outline of Research at the Start |
高齢者に適した快適なオムツ素材として,例えば,尿の吸水性を高め,かつ消臭機能性を付与した高分子ゲル材料の開発が待たれる.本研究では,水溶性高分子を架橋し高分子ゲルを調製し,種々の尿成分モデルを含む溶液中での膨潤度を測定し,溶質選択的な高分子ゲルの膨潤に関して基礎的な知見を得るとともに,一方,消臭機能布の消臭機構を詳細に検討し,高分子ゲル材料に消臭機能を付与する方法を検討する.得られた結果より,高機能オムツ素材に付与すべき吸水能と消臭能が可能となる設計指針を見出す.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度に引き続き,オムツ素材モデルとしてポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いて各種水溶液中での膨潤度の測定を行った.昨年度の研究ではゲル膨潤度の溶質濃度依存において極大が観察された.令和4年度は,極大が発現する機構を明らかにすることを主眼に研究を進めた. 用いたゲルサンプルとしては,溶質との水素結合による相互作用について検討するため,昨年度用いた完全鹸化型PVAゲルに加えて,ヒドロキシ基が少ない部分鹸化型PVAゲルを併用した.ゲルを浸漬する外部溶液としては,グルコース,キシリトール,myo-イノシトール水溶液を用いた. ゲルの膨潤度は,完全および部分鹸化型ゲルのどちらも,外部溶液の濃度の上昇に従って増加し極大を示したのちに減少した.グルコースとキシリトール水溶液中では,部分鹸化型ゲルの方が完全鹸化型に比べて,極大での膨潤度はやや小さく,また,1.0 M以上の高濃度領域ではより大きく収縮した.myo-イノシトール水溶液中では,完全および部分鹸化型ゲルのいずれの場合も,グルコースとキシリトール水溶液中で膨潤度が極大を示した濃度の10分の1程度(0.05 M付近)で,膨潤度の極大が観察され,その後収縮した.この時,極大での膨潤度は完全および部分鹸化型ゲルでほぼ同じであった. 完全鹸化型PVAには分子間水素結合が存在し,この結合がゲルの架橋点として働いている.グルコースやキシリトールのような強い水素結合性水和を示す溶質は,PVAゲルの分子間水素結合を切断して膨潤を引き起こすが,一方,高濃度領域ではPVAの水和に必要な自由水を減少させゲルを収縮させると考えられる.myo-イノシトール場合は,水への溶解度が小さく水和能が小さいため,完全鹸化型PVAが持つ分子間水素結合を切断できるとは考えにくい.低濃度領域でPVAとの直接的で協同的な会合が起こり膨潤したと現段階では考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,完全鹸化型に加えて,部分鹸化型ポリビニルアルコール(PVA)を用いたゲルの調製と膨潤度測定を併せて行うことができた.部分鹸化型PVAゲルについては調製条件の最適化がまだ十分ではないように思われた.しかし,鹸化度の異なるPVAを用いた膨潤度測定により,いくつかの興味深い知見が得られ,膨潤度に極大が見られる理由に関しての示唆が得られた.2年目の研究展開としては順調と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究で得られた結果の再現性を確かめると同時に,ゲル膨潤度の極大発現機構を明らかにする.このためには,現在までに用いなかった溶質を選択して膨潤度測定を行う.特に糖や糖アルコール以外の溶質についても必要に応じて行う.考察の構築に必要な補足的な実験(ゲルの示差走査熱量分析)なども行い,3年間の研究成果をまとめる.
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