Project/Area Number |
21K02158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Fukushima College (2023) Aoyama Gakuin University (2021-2022) |
Principal Investigator |
黒石 いずみ 福島学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70341881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ブランゲ文庫 / ロックフェラー資料 / 戦後占領政策の国際比較 / 公共住宅の現状 / 地域社会との関係 / ドイツ戦後住宅政策 / 都市計画的視点 / 戦後経済史研究 / 冷戦期文化政策 / 住宅問題 / 戦後デザイン史 / ロックフェラー / 住宅福祉 / 文化的独自性 / 生活価値 / 国際的建築デザイン交流 / SCAP資料 / 基本空間論 / 営団資料 / 産業工芸試験所 / ドイツ移民住宅政策 / 人権思想史 / 地域社会 / 居住権 / 占領期文化政策 / 住宅復興 / 生活様式 / 国際比較 / デザイン |
Outline of Research at the Start |
本研究は戦後の米国による占領/冷戦期の文化政策と、日本の住宅復興の関係を分析し、住空間概念や生活様式に与えた影響と、デザインの変遷を促した原動力を研究する。 特に米国の政策と国内政策の国際的力学下で形成された制度や生産の仕組み、無意識化された住空間の質や文化的独自性の問題を明らかにするために、農村住宅改善と戦後の都市部における公共住宅計画、占領軍家族住宅建設、消費財の普及、メディアの啓蒙活動の多面的な関係を分析し、他の占領地における政策や住宅の変容と比較検討し、戦後デザインの意味を再考する。本研究により精神的な拠り所としての住まいの意味の変化の政治性を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
メリーランド大学のブランゲ文庫に所蔵された戦後直後の占領期における住宅政策関係の雑誌、行政文書、専門書籍、パンフレットなどの資料を収集し、その解読を行なった。またロックフェラーセンターの所蔵する占領期におけるジョン・ロックフェラー3世の資料を閲覧し、ロックフェラー家全体のフィランソロピー活動における日本での彼の活動の位置付け、彼の占領国の復興に対する考え方などを理解した。また、既往研究で海外の研究者による日本の住宅政策や住宅史の研究、国内の学会を中心に継続的に投稿されている住宅問題関係の研究、特に海外の建築思想と日本のそれとの関係や波及効果についての論考を、建築学会に限らず、社会学や歴史学の領域にまで広げて学んでいる。しかしコロナの影響などもあり、米国公文書館資料とメリーランドの他の資料の検証作業を初年度に全く行うことができず、上記の新たに加えた資料やそこから得た知見をうまく全体的に統合する作業が不足している。 海外の学会にも研究の切り口となる理念についての議論の展開を図るため積極的に参加し、都市計画学的な視点や社会学的視点、カルチャラルスタディーの視点と理論を確認している。カナダ、イギリス、ドイツ、アメリカ、スペインの研究者と比較論的議論を行い、問題の相対化に努めている。特にドイツの戦前から戦後にかけての経済史学の領域から、戦後の住宅復興に関する有意義な知見をうることができたのは、日本における占領軍の視点と住宅政策の論理の関係を相対化する上で重要なポイントだった。 上記の文献研究のほかに、日本の戦後公共住宅・公営住宅の現在も残る事例や、占領軍住宅が建設された地域の現状、それらが現在の都市景観に影響を与えている事例について、各地を実際に訪問し見学を続けている。そして地域史の視点からも、占領軍によりもたらされた生活文化や住宅形式がどのような意味を持つのかも合わせて考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に続き、2023年度も自身がコロナに罹患し、発熱や喘息で体調が悪い日が続いた。また家族が相次いで高齢の為などで亡くなる一方で、2023年度から新しい職場に移り、生活環境が大きく変化したために十分落ち着いて研究する時間が取れなかったことが一つの原因だと思う。 もう一つは、様々な機会を作りアメリカやヨーロッパに調査に行き、学会で科研費に関連する研究発表を行なったり、海外での出版企画に寄稿したりする機会はあったが、これまで収集した資料とも関連づけて十分読み込み、独自な議論に反映させるにはまだ調査が不足している。ドイツの研究者との連携が始まったが、議論がまだまだ十分ではない。特に経済史や戦後政治の領域での議論には、国内事例、海外事例ともに基礎的な知識が不足しているので、都市建築の領域での戦後史研究で得られる即物的な情報を社会的文化的情報にうまく連結することができないジレンマがある。重要な具体的な事例を抽出し体系的に分析する明確な問題意識がさらに必要だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本来であればすでに主たる調査を終えて、これまでの研究の蓄積を生かしつつ、その穴を埋めて、全体を体系化する作業を急ぐ必要があるが、まだまだそれぞれの調査が不十分で、国内にある資料だけでは不十分であることを感じている。早急に研究のポイントを絞り、資料の補足調査を行う予定である。 そのために、研究の主たる対象地アメリカやドイツ、50年代公共住宅の理論のメッカであるオーストリア、現代デザインと公共住宅計画の融合を実現したスェーデンには再度資料を求めにいく予定である。 またこのテーマに関連して幾つかの国際学会で発表してきた事柄をまとめると同時に、それに使用した資料の再検証を行なって、研究の方向性が正しいことを確認する必要がある。これまでのドイツ、イギリス、スペイン、アメリカの研究者との議論を具体的な成果としてまとめ、この研究に反映する必要もある。最終年度であるが、状況次第では延長することも考慮している。
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