Project/Area Number |
21K02171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
森 実 大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (10174385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 孝實 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 嘱託研究員 (90031707)
岩槻 知也 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (60263191)
新矢 麻紀子 大阪産業大学, 国際学部, 教授 (70389203)
菅原 智恵美 大阪公立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (60896596)
棚田 洋平 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), 企画・研究部, 研究員 (00639966)
岡田 耕治 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40321921)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 被差別部落 / 識字学級 / 全国調査 / 識字 / 成人基礎教育 |
Outline of Research at the Start |
2021年度は、全国の被差別部落の識字教室を対象として質問紙調査を実施する。 2021年度は、全国の被差別部落の識字教室を対象として質問紙調査を実施する。これは、2010年度に実施した質問紙調査、および2011年度に実施した訪問聞き取り調査をふまえてこれまでと比較するものである。 2022年度には、質問紙調査の結果をふまえて特徴的な識字教室を抽出し、それらの教室に訪問のうえインタビューなどを行う調査を実施する。 2023年度には、前年に行う識字教室への訪問調査等で得られた資料・教材を分析するとともに、韓国等諸外国の成人基礎教育との比較調査を行う。資料を収集するとともに、訪問調査も位置づける。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、計画段階では2021年度から2023年度の3年間にわたる研究であり、2022年度はその2年目に当たっている。初年度の2021年度は、調査を的確に行うため、いくつかの団体の協力を得て、調査対象となり得る全国の隣保館や学級について発送先住所などの基礎データを確定するとともに、「全国識字学級実態調査」の質問紙づくりを2021年4月から8月にかけて行った。その後、質問紙を教室や隣保館に郵送し、回答を回収した。回収した185の回答をデータ入力し、2022年4月20日時点で全データの電子媒体への入力作業を終えた。 これをうけて、2022年度には、一方で入力したデータのクリーニング作業を行い、本格的に分析を進めるための土台を形成し、調査結果を分析する作業の進め方などについて議論を重ねた。今後は、データの分析作業を進め、集計結果をまとめることになる。 他方で、教室訪問調査については、回収された個々の教室の質問紙をていねいに読み、訪問先を決定してインタビューなどを進めようとしている。また、部落解放・人権研究所の識字・成人基礎教育研究会の行っているインタビュー調査と連携して、7つの教室を対象に予備的な訪問調査を重ねた。質問紙の内容と予備的インタビュー調査により、訪問調査を進める際の枠組みも整理されつつある。 国内の教室訪問調査の進捗をふまえつつ、韓国に視察を行い、教室を訪問し、関係者にインタビューするなどして、日韓の課題を比較しながら分析を進めようとしているところである。 計画全体の進捗で言えば、新型コロナの影響などもあり、やや遅れていると言わなければならない。2024年度までの延長も検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている最大の原因は、新型コロナパンデミックの影響である。2022年度のコロナは、第6波から第8波までくりかえし流行が発生し、見通しの立てにくい状況が続いた。識字教室そのものが開催されない状況も続いたので、特に教室訪問調査についてはこの影響を受けた。昨年度の報告でも述べたところだが、識字学級で学ぶ人たちのなかには高齢の方たちもおり、離れた場所からの訪問は控える必要があった。とくに本調査メンバーは、新型コロナウイルス感染拡大とそれによる死亡者数が多い大阪で活動しているため、この点については配慮し、訪問を控えざるをえなかった。別の調査活動と連携することにより、予備的な資料収集を進めることはできたが、本調査の目的に即しての十全な調査とは言えない面がある。質問紙調査データの分析を進めるための会議も、開催が思うに任せない状況が続いた。 やや遅れているもう一つの原因は、他の調査とのかねあいがある。より具体的には、メンバーの多くが、2021年度文化庁「『生活者としての外国人』のための日本語教育事業地域日本語教育実践プログラム(C)」に採択された事業「教室ボランティアの人権意識調査に基づく学習・研修プログラムづくり」にも関わっており、そちらの調査がコロナなどの影響により立ち後れ、2022年度にも分析作業を続けなければならなかったことも影響して、本調査の遂行が思うように進まなかった面がある。 新型コロナの流行が一段落し、5類に移行したことによって、本調査の計画も立てやすくなっている。今後は、順調に進められるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、2022年度に行う予定であった質問紙調査の分析と、教室訪問調査を本格的に進めることが中心となる。また、海外への訪問も次第に可能となりつつあるので、9月に韓国を訪問し、教室を訪ねて学習者や支援者にインタビューもしたい。 質問紙調査については、すでにデータのコーディングやクリーニングが終了しており、統計ソフトを使った分析作業も徐々にすすめつつあるところである。10年前の調査結果と対比することによって、2010年と2021年の間にどのような変化があったかを整理することもできる。この作業を本格的にすすめ、調査結果をメンバー間で共有することによって、分析を深めるとともに、教室訪問調査の枠組みや計画を具体化していくことになる。 教室訪問調査については、質問紙調査結果の分析を待ちながらも、個々の教室からの質問紙への回答を読み取ることによって、訪問教室の候補を絞り出す作業はすすめることができる。「文字の読み書き」から「文化的活動」へと学習内容を発展させた教室もある。海外からの学習者を広く受け入れて活動している教室もある。相手のある作業なので、こちらの都合だけで進めることはできないが、できる限りスムーズな訪問調査を行いたい。 2023年度に計画していたもう一つの事業は、韓国訪問である。1990年頃から日韓の識字に関わる交流が始まり、2019年度には「日韓識字学習者共同宣言」が誕生した。2020年度には日韓の識字に関わる歴史・現状・課題などを論じた冊子『子どものころに学べなかったからこそ-韓国と日本の識字・基礎教育-』が発刊されている。本調査のメンバーは、この日韓交流にあたっても重要な役割を果たしてきた。この交流を経て、日韓の識字活動を比較する意義も明瞭になってきている。今秋に韓国を訪問することによって日本側の識字についても新たな視点が得られるものと期待している。
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