Project/Area Number |
21K02173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松田 聡 岡山大学, 教育学域, 教授 (60806412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 新学習指導要領 / 和歌の現代語訳 / 思考力の育成 / 万葉集 / 額田王 / 松尾芭蕉 / 古文教材 / 和歌・俳句の教材化 / 持統天皇 / 教材開発 / 助動詞らむ / 留守歌 / 大津皇子 / 大伴家持 / 国語教育 / 古典教育 / 和漢比較文学 / 和歌 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、令和4年度より年次進行で全面実施される新しい高等学校学習指導要領に基づき、万葉集の教材としての可能性を考究し、新たな指導内容を考究しようとするものである。新学習指導要領における必修科目「言語文化」の掲げる諸目標を考慮するとき、万葉集はその全般にわたる情報を内包した優れた教材と考えられる。本研究においては、そのような視点から万葉集の教材化という問題に取り組むが、机上の理論に終始するのではなく、あくまで現実の授業に応用可能な教材開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、まず新しい教材の開発を目指して、万葉集巻七に採録される作者未詳の歌「我妹子が赤裳の裾のひづつらむ今日の小雨に我さへ濡れな」(7・1090「詠雨」)を取り上げ、研究発表を行った(「留守歌再考」美夫君志会5月例会/2023年5月14日、中京大学)。当該歌は教科書に採録されるものでもなく、また決して著名な作品でもないが、教材化しうる要素を多く内包している。まず「らむ」は古代の歌を考える上で重要な助動詞であるが、当該歌の場合、いわゆる〈留守歌〉のバリエーションと考えられることから、和歌史的側面から検討することが可能である。「赤裳」という表現も古代文化との関わりから考えることができる。一方、当該歌は注釈書によって大きく解釈が異なるため、諸説の比較という視点から教材化することによって、思考力の育成に資することができると考える。 いったいに、この「諸説の比較による思考力の育成」という視点は本研究の中核をなすものである。これは昨年度のシンポジウム(「和歌の『現代語訳』をめぐって」全国大学国語国文学会冬季大会)でも検討したものであるが、令和5年度後半では、このシンポジウムの報告に基づく論文を発表した(「和歌の『現代語訳』をめぐって―学校教育を視野に―」『文学・語学』第239号、2023年12月)。更に、その知見を活かして、より教材に沿った形の論文(「和歌・俳句を用いた思考力の育成―芭蕉の発句・額田王の歌を例として― 」『岡山大学国語研究』第38号、2024年3月)を発表した。特に後者の論文においては、教科書所載の韻文教材を中学国語から高校国語への橋渡しとして位置づけると共に、情報源を明示することによって、専門的知見を実践に応用できるように配慮した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では十分盛り込めていなかった「思考力の育成」という問題を、より具体的な側面から論じることができた。全国学会で1件の研究発表を行い、学術論文を2篇発表したが、これらの成果を通じて、古文教材における中学国語から高校国語への橋渡しという新しい観点を提示することもできた。以上のことから、当初の計画以上に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、万葉集の歌を中心に新しい観点から教材化の試みを継続する。具体的には万葉集巻3に載録される山上憶良の「罷宴歌」を取り上げ、全国学会で研究発表を行う予定である。当該歌は教科書にも採られている著名な作品であるが、教材として考究すべき課題が少なくない。それらの課題を学術的観点から十分に検討し、いかにして教育に応用するかという問題について考察する。
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